眼がスクリーンになるとき―ゼロから読むドゥルーズ『シネマ』

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眼がスクリーンになるとき―ゼロから読むドゥルーズ『シネマ』

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  • サイズ B6判/ページ数 304p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784845917044
  • NDC分類 778
  • Cコード C0010

出版社内容情報

ついに、『シネマ』がわかる!

思想界に颯爽と現れた26歳の新鋭、衝撃のデビュー作!

「たんに見る」ことの難しさと創造性をめぐって書かれた画期的なドゥルーズ『シネマ』入門。

本書は、「見る」ことと「読む」ことの復権を同時に実現する。

20世紀最大の哲学者、ジル・ドゥルーズが著した芸術と哲学をめぐる二巻本『シネマ』。



本書は、『シネマ』にとって、映画は哲学の「フッテージ(footage)」、つまり「思考の素材=足場」であると捉えなおすことから議論を開始する。

その映画というフッテージに、もうひとりの重要な哲学者となるアンリ・ベルクソンの哲学が流しこまれる。そのとき映画はイメージ=映像による〈思考〉の実践として立ち現れてくるのだ。



『シネマ』と映画の関係、ドゥルーズとベルクソンの関係というふたつの問いは、哲学にとって「見る」ことと「読む」ことがいかにして概念の創造へと導かれるかということを指し示している。



映画という特殊な経験のシステムから立ちあがる、イメージがそれ以上でもそれ以下でもなく見たままで現れる地平、「眼がスクリーンになるとき」とはどのようなことか。

そのとき観客である私たちはどんな存在へと生成するのか。



また、「私は素朴な観客です」というドゥルーズの言葉どおり、「見たまま」を肯定する態度は、ドゥルーズの哲学の創造性とどのようなつながりがあるのだろうか。



映画から哲学へ、哲学から映画へ、まっすぐに『シネマ』の核心へとスリリングに論じぬく、新鋭のデビュー作 !

はじめに



第一章 映画と哲学、ベルクソンとドゥルーズ

 1-1 『シネマ』と映画

 1-2 ベルクソンにおけるイメージと運動

 1-3 ベルクソンの「映画的錯覚」批判とベルクソニズムによるその解決



第二章 運動イメージ――感覚-運動的に思考する映画

 2-1 運動イメージの分化――宇宙の構築

 2-2 運動イメージの種別化――主観性の物質的アスペクト

 2-3 映画的思考1――全体とフィギュールの思考、画面外と音声



第三章 運動と時間

 3-1 運動から時間へ?――ランシエールの『シネマ』批判をめぐって

 3-2 零次性としての知覚イメージ――物の知覚

 3-3 眼がスクリーンになるとき――運動と時間



第四章 第一、第二の時間イメージ――視-聴覚的に思考する映画

 4-1 結晶イメージの境位――知覚と記憶の同時性

 4-2 過去の共存と現在の同時性――「脳」と「宇宙」の新しい意味

 4-3 映画的思考2――〈外〉と定理の思考、視?聴覚的映画

 補遺 ドゥルーズの「減算と縮約」



第五章 第三の時間イメージ――ひとつのおなじ結論の三つの異なるバージョン

 5-1 私に身体を与えてください――瞬間に持続を導入する

 5-2 偽なるものが力能になるとき――『シネマ』の物語論

 5-3 ふたたび『シネマ』と映画、ベルクソンとドゥルーズ



文献一覧

あとがき

福尾匠[フクオ タクミ]
著・文・その他

内容説明

映画とは何かを考え抜いたジル・ドゥルーズの伝説的著作『シネマ』が、本書によって、ついにわかる。「たんに見る」ことの創造性をめぐる、『シネマ』入門。新鋭による衝撃のデビュー作!

目次

第1章 映画と哲学、ベルクソとドゥルーズ(『シネマ』と映画;ベルクソンにおけるイメージと運動 ほか)
第2章 運動イメージ―感覚‐運動的に思考する映画(運動イメージの分化―宇宙の構築;運動イメージの種別化―主観性の物質的アスペクト ほか)
第3章 運動と時間(運動から時間へ?―ランシエールの『シネマ』批判をめぐって;零次性としての知覚イメージ―物の知覚 ほか)
第4章 第一、第二の時間イメージ―視‐聴覚的に思考する映画(結晶イメージの境位―知覚と記憶の同時性;過去の共存と現在の同時性―「脳」と「宇宙」の新しい意味 ほか)
第5章 第三の時間イメージ―ひとつのおなじ結論の三つの異なるバージョン(私に身体を与えてください―瞬間に持続を導入する;偽なるものが力能になるとき―『シネマ』の物語論 ほか)

著者等紹介

福尾匠[フクオタクミ]
1992年生まれ。横浜国立大学博士後期課程、日本学術振興会特別研究員(DC1)。現代フランス哲学、芸術学、映像論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

燃えつきた棒

33
この二、三日、「城」の周りの村を足が棒になるまで歩き回ったが、城への入り口は一向に見つからない。 この本といい、日仏会館の「イマージュと権力」といい、なんだか本当に疲れた。 明日は、西側の村へ行ってみようか?2019/05/18

またの名

9
映画論についての解説なのにも関わらず具体的な映画の話がほぼ出てこないので専門家による怒られを回避してるという、そんな手を使って良いのかと驚かされる本。ベルクソンがふと書いた「記憶の中に身を置く」等の言葉の綾を文字通りに受け止め「どこに?」と小ボケめいた疑問を発し、ベルクソン自身が書いてない個々の現在を離れた過去一般という潜在的なイメージが保存された空間を浮かび上がらせるドゥルーズの手法を、ドゥルーズの映画論を読み解くかたわら同時に可視化する。本書のみで映画を理解するのは難しいけどドゥルーズ論として画期的。2020/07/11

tyfk

3
むかし買った『シネマ』英語訳のうち、Cinema 1 The Movement-Imageはなんとか読んだけど、Cinema 2 The Time-Imageがどうにも進めず頓挫しかかってた。 ベルクソン『物質と記憶』『創造的進化』とドゥルーズ『シネマ』どこがどうつながり、どこが違っているのか、詳しく解説してあってよかった。2023/04/24

すずき

3
1回休んだからか2章終盤あたりから半分くらい分からなくなった 一つ一つの点もわからんしわかっても繋がって線にならない 多分私の頭が足らんせいでしょうが、にしても入門的解説書としての「ゼロから読む」はさすがに無理では、これ哲学もベルクソンもドゥルーズも全く知らないで理解できる人さすがにいる???元々修論だしね とはいえ「素朴に読む」「見たままに読む」という意味での「ゼロから読む」なら大いによくわかる 別に入門書と銘打たなくてもいいのでは(ゼロから読んでわかる人には入門レベルなのかもしれないが)2019/03/29

ルンブマ

2
これ→(福尾匠講義「5時間でわかるドゥルーズ『シネマ』」:クロニクル、クロニクル! http://www.chronicle-chronicle.jp/news/1295) とあわせて読むとより良いと思います。2019/10/11

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