内容説明
当世落語界を突っ走る人気真打5人と、期待の若手真打・二ツ目6人が魅せられた“噺”の奥に見えるものとは―。いかにして、噺に「魂」を込めるのか。珠玉の18噺。
目次
第1章 師匠の十八番は、何ですか?(春風亭昇太―千の海を旅して『ストレスの海』『権助魚』;桃月庵白酒―平和がいちばん『松曳き』『火焔太鼓』『幾代餅』;柳家喬太郎―将来、残るかな『ハワイの雪』『按摩の炬燵』;立川生志―磨きに磨いて『お見立て』『紺屋高尾』『柳田格之進』;林家正蔵―お客様が決めるもの『しじみ売り』)
第2章 未来の十八番!?(三笑亭夢丸―いつか、堂々と『あたま山』;立川こはる―進化が楽しい『金明竹』;春風亭昇々―信念を固めた噺『雑俳』;瀧川鯉八―新作落語の子『科学の子』;柳亭小痴楽―空気感がたまらなく好き!『一目上がり』;柳家わさび―DNAを手に入れたくて『桃太郎』『佐々木政談』)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kei
24
落語the movieのファンです。小難しいことを排除、実写化に徹しているのがいい。十八番、皆が自分が決めるものではないと言いながらも、好きな噺を語る。噺の分析、演者の語り方、工夫。噺そのものを語りながら、落語家本人を語ることになります。個人的には、飛行機内で聞く落語が好き。なるほど、って一人ガッテンしたり、心地好くて、眠っちゃったり。本になると、理屈っぽくなりますが、それも、たまには、良し!です。 2017/12/05
姉勤
23
タイトルに反し自分の得意な噺という紹介はない。落語家になる前から好きな、大事にしている、未だに固まらず、変え続けていく「演目」を自身が解説。表題の5人の真打と若手二つ目数名のインタビューに、演目のあらすじを。誰でもやる落語ゆえに、工夫した点、自分らしさ、人(にん)に合っているか、伝統と変化の中の二律背反のジレンマを語る。もう名を知られた師匠達による、自身の師匠や先達からのアドバイスが、落語を聴いていて感じる心象に腑に落ちるテコ入れとなっていて、個人的にフックする。2019/01/13
道楽モン
17
同時代に生きる噺家さんは、落語愛好家にとって共に生きる同志的存在だ。時代感覚も価値観も共有する噺家が、前座、二つ目、真打ち、大看板へと成長する姿を目撃できるのだから。勿論、上の世代である噺家だって大好きだ。馬生、志ん朝、談志、小三治…。十代後半に寄席に通っていた時期、寄席を支えていた権太郎、さん喬、川柳は、我が同世代の師匠連。当時前座だった、喬太郎、白鳥、昇太、正蔵、(立川流だと)志らく、談春、このあたりが同世代。芸談なぞ大看板になってからで良い。5年前、還暦手前での彼らの現在地がこの本に記録されている。2023/12/02
nbhd
13
著者のひとり、瀧川鯉八さんに恋してしまっている部分がある。芸人愛、的な意味で。今年は神田松之丞さんが凄いなあと唸っていたのだけど、いまや鯉八さんのぶっ飛んだかんじのトリコになっている。創作落語「科学の子」、言葉にしづらいが、スットンといった趣がある。哲学者ベンヤミンが言う、神話的暴力=松之丞さん、神的暴力=鯉八さん、といった理解のカテゴリーが、我ながらウザいけど、しっくり来る。スットン。2018/11/18
imagine
5
噺家がそう簡単に自分の十八番について語るとは思えなくて、逆に気になった本。案の定、つかみどころの難しい滑り出し。が、そこから各人が芸談に入り込んで行く様はスリリング。それぞれにマッチングされた聞き手、構成者が良い仕事をしている。立川生志の『柳田格之進』、滝川鯉八『科学の子』をぜひ聴いてみたい。2018/11/09
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