出版社内容情報
野田高梧[ノダコウゴ]
著・文・その他
内容説明
半世紀を経て待望の名著復刊。「構造」から映画を考える、シナリオ創作の代表的入門書!『晩春』、『麦秋』、『秋刀魚の味』、そして『東京物語』…。小津安二郎監督の代表作を担い、日本映画の黄金期を築いた伝説的脚本家によるシナリオ創作論。
目次
序説
概論
基本
構成
局面
映画的構成
性格
著者等紹介
野田高梧[ノダコウゴ]
1893(明治26)年11月19日、北海道函館で生まれる。早稲田大学卒業後、雑誌社、東京市役所を経て1924(大正13)年、松竹蒲田脚本部入社。第一作『骨盗み』(広津柳浪原作)を脚色、以後一貫して松竹の代表的脚本家として活動。1927(昭和2)年には小津安二郎の監督昇進第一作『懴悔の刃』を書く。翌28年撮影所長・城戸四郎と語らって「松竹蒲田脚本研究所」を開設。1936(昭和11)年、初代日本シナリオ作家協会会長。1938(昭和13)年の『愛染かつら』は爆発的なヒットとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
26
映画のシナリオを分析し、構造的に捉え、解説した一冊。序破急などのストーリー構造から小説と脚本用の文章の違いなど多岐にわたる。特に文章の違いは具体な比較例もあるので違いが分かりやすい(小説は事細かに書くが、脚本では役者に要求する演技のポイントが重視され、場面描写は最低限にしている。誰がどう動くかが大事)。また、尺の目安が原稿用紙1枚=1分なので90分映画は原稿用紙90枚=約180頁前後ということになるため、映画化すると話が端折られる事情も分かった。場面構成の解説も読んでいて興味深かった。2023/02/09
たぬき
2
ゆっくりと読むと学ぶところが多い。名著。2019/02/04
亜済公
1
例示されているシナリオがどれも非常に良い出来栄えで、感心した。2024/06/30
NEXT URBANSHOP
1
久しぶりに映画の楽しみ方が拡がった。映画に関するレクチャーで知的興奮をおぼえたのは、NHK番組「ハリウッド白熱教室(全五回放送)」以来だ。小津映画については触れていないが、映画の基礎概念がしっかり土台となって日本的美を醸し出す稀有な作品として完成されたのだろうと感じた。本当に小津映画のように悪人のいない純粋な心持ちで生きる世界に自分の魂ごと入り込みたい気持ちになる。シナリオのテクニック次第では映画の中身が全く違った感じの解釈を受けることもあるでしょうが、小津映画の人間像は超越的な感覚でした。 2017/07/18
でろり~ん
1
嬉しい復刊。やっと読めたといったところですね。さすが幻の名著と評された内容でした。シナリオ世界でのビッグネームがクン付けでたくさん出てきて、何だか、内容とは別のところで感慨を感じたりしました。しかしねえ、こうして読んでみると、明治生まれの日本人って、ホント凄いよなあって改めて思い知らされます。進化というか、常に変化しているジャンルなのでしょうけれど、現在の映画やドラマの痩身性みたいなものは、こうした基本内容を取り戻すことで復活できるんじゃないかなと思うです。公式なんか無いんだという繰り返しが印象的でした。2016/11/20