ラッセンとは何だったのか?―消費とアートを越えた「先」

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  • サイズ B6判/ページ数 267p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784845913145
  • NDC分類 723.53
  • Cコード C0070

内容説明

癒しの「マリン・アーティスト」なのか?究極の「アウトサイダー」なのか?初のクリスチャン・ラッセン論。

目次

1 「ラッセン体験」への招待(クリスチャン・ラッセンの画業と作品―事後的評価と再召喚される「ベタ」(原田裕規)
美術史にブラックライトを当てること―クリスチャン・ラッセンのブルー(千葉雅也))
2 日本社会における受容―美術史の闇を照らすために(「日本の美術に埋め込まれた“ラッセン”という外傷」展(大野左紀子)
“アウトサイダー”としてのラッセン(斎藤環)
ラッセンという過剰さ―美術史は何を書くことができないのか(加島卓))
3 「価値」をめぐって―いかにして「見る」べきか?(信用と複製芸術―紙幣としての美術(櫻井拓)
“見世物”に対するまなざしの行方―ラッセンの日本的受容をめぐって(河原啓子))
4 二つの世界―サーフィンとアート(クリスチャン・ラッセン、二つの世界のエッジで(石岡良治)
ラッセンをイルカから観る―ジョン・C.リリィ再読のための一試論(土屋誠一))
5 制度批判を越えた“新しいつながり”へ(ラッセンの(事情)聴取(星野太)
樹木と草原―「美術」におけるクリスチャン・ラッセンの位置を見定めるための、また、それによって従来の「美術」観を変更するための予備的考察(北澤憲昭))

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

52
2012年に編者が企画した展示会から作られた論集。90年台絵画商法で有名なプロサーファーでもある画家は美術界から徹底的に無視されていた。なぜ恥部のように目をそらされ続けたのか、彼の作品そのものの評価などが論じられる。個人的にこの本を知ったのは論者の一人斎藤環が他の本で語っていたからだ。「ヤンキー的」存在であり、美術界の意味合いなど知的好奇心がくすぐられる良い本だ。まあ中途半端に感じるところ論文もあるが。これまで批評といえば文学批評ばかりと思っていたが絵画批評もなかなかおもしろく感じた。入手難だが良書。2016/07/24

Koning

25
エウリアンで悪名を轟かせてしまったラッセン。インテリアアートとして一段下に見ているとか、現代アート(コンテンポラリのあれこれとの境界はどこ?)とか、そういう疑問を持ちつつ喉元にひっかかった魚の小骨的な(人によってはトラウマそのもの)としてのラッセン(ヤマガタなんかはちょっとはずれるらしい)の論集。日展にコンテンポラリというこれまたジャンルの違う2種類の作品とラッセンを並べて展示する展覧会から始まって村上とかあの辺はどうなのよ?東山魁夷とか平山郁夫との違いってどんだけあるの?ってな話(続く2014/03/16

かやは

19
​美術を愛する人々に、このような本を一冊書かせる「ざわめき」を、ラッセンは持っているということがよくわかった。ラッセン作品のような「社交上手」さは、自身を振り絞って作品を生み出す人からしたら腹立たしいのだろうか。わかりやすくて「ベタ」だからこそ、大衆に簡単に受け入れられている。ベタなものには、心理ではなく、生理で反応しているから、論理的には否定できない。ただ、生理に直接訴えかけてくるものは、俗っぽくて、幼い。心理で理解し、生理へ作用していくものこそが、真の感動を呼び起こし、永く愛されるのだと思う。2016/06/29

ふろんた

15
ラッセンの作品に対して湧き上がるある種の嫌悪感がなんなのかを説く。ヤンキー的な下品さとわかりやすいものにハマりやすいというのが共感できる。全てを理解したわけではないが、音楽でもカラオケで歌える曲が人気だったり、最近のヒットチャート上位の曲を冷めた目で見るのと同じことだろう。そういえば、ラッセンもヒロ・ヤマガタもディズニーキャラクターを作品の中に入れているね。ということでディズニーも。。。2019/04/13

Kenji Iwata

13
私はいいと思わないけど、ラッセンならいいんじゃない? 当たり障りないし……的な感慨に耽る。104ページ「しかし、ラッセンの絵がダメであるとして、ならばそれに比べて同じくらい日本人に愛されているであろう東山魁夷や平山郁夫らの絵が圧倒的に優れているのかと言えば、僕は首を過傾げざるを得ないのだ。むしろ技法的な平板さやモチーフの平凡さ、徹底した自己模倣ぶりなど、共通点ばかりが眼についてしまう。」のくだりに妙に納得。この本から「ヒロヤマガタ問題」の存在を知り、自分の中の曖昧模糊、うやむやな部分が何となく整理できた。2013/08/05

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