内容説明
私は、こうして決定的なシーンを撮った。日本映画を代表するベテラン、気鋭、新鋭の話題の映画監督29名が、自作の中から「決定的ショット」を選択。撮る事の困難を、監督自らが書き下ろす。
目次
第1章 カメラのまなざしの先に(大林宣彦「この空の花 長岡花火物語」―目線のテクニックを駆使し、観客参加型の映画を作る;入江悠「SRサイタマノラッパー」―音楽映画の常套手段を覆す ほか)
第2章 何を演出し、何を演出しないか(塚本晋也「KOTOKO」―わずかな身体の動きに全精魂を込めて;真利子哲也「NINIFUNI」―言葉では説明できないことを語るために ほか)
第3章 偶然と必然のあわいで(岩井俊二「ヴァンパイア」―イメージが増殖的に物語を生む;松江哲明「フラッシュバックメモリーズ3D」―「映ってしまったもの」が持つ強度 ほか)
第4章 「場」を生みだす力(河瀬直美「沙羅双樹」―刹那的なものを記録する奇跡に出会うこと;山下敦弘「天然コケッコー」―みんなのものであり、誰のものでもないショット ほか)
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映画の教室本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LOVE弁慶
6
映画を一回見ただけでついつい面白い、面白くないと言いがちだけどたった一つのショットだけでもこれだけ様々なワケ、こだわりがあるんだと思うともっと映画が楽しく見れる。2013/12/25
踊る猫
4
大林宣彦氏や塚本晋也氏など様々な監督が、自分のキャリアの中でベストだと思われるショットをいつ生み出せたのかを語った本。当たり前の感想になるが、監督に依って「ショット」の捉え方が違う。それは偶発的に生み出し得たものでもあったかもしれないし、必然的に必死に計算して生み出したものであるのかもしれない。言い換えれば、偶然と必然がクロスするところで彼らは自身の「ベスト・ショット」を生み出したのだ。彼らの作品を観たくさせられた。彼らなりの美学を貫いたショットを私もこの目で確認して、今後の鑑賞の参考にさせて行きたい、と2016/06/20
まさやん80
2
29人の映画作家が、自作の中からこれぞというショットを選び、なぜそのショットなのかを解説するというとても贅沢な本。 興味深いのは、多くの監督が、優れたショットは思い通りにいったショットではなく、思いもよらない偶然から生まれたショットであると言っていることだ。映画は共同作業の中で生まれる。その共同作業の色んな要素がうまくはまって、想定以上のショットに昇華する。それこそが監督の醍醐味だというわけだ。 29作品の内、僕が見ている映画は17本だった。2019/04/16
kanako
2
映画監督自身が自作の決定的ショットを選び、それについて語るインタビュー集。制作秘話としても面白い(特に冨樫森監督と派谷恵美のエピソードとか)。すごいショットは入念な準備と映画製作がはらむ偶然性が生み出す一種の奇跡なのだと実感。読んでるだけでも面白そうな映画をいくつか発見できたのでその意味でも収穫。2014/12/30
こひた
0
ワンショットの経緯、周辺、工夫、意図。じっくり読み直せる時にまた。2015/05/22