出版社内容情報
「ハーフ」と呼ばれる人々の日常と溢れる感情を鮮やかに描いた、わかりあえなさと手を繋ぐ群像劇。
「姉ちゃん、俺、改名したけん。」
フランス人の父と日本人の母を持つ〈米山和美マンダンダ〉は、弟から突然の告白を受ける。
生まれ育ったはずの日本で「異物」と見なされても、笑って流していたけれど…。
アイデンティティに揺れるすべての人へおくる、共生を模索する希望の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
40
『このマンガがすごい!2026』オンナ編、第1位の作品。一話ではフランス人の父と日本人の母を持つ米山和美のことが描かれています。ある日弟が来て、改名したことを告げるのですが……。現代社会はいろいろな生きづらさがありますが、両親ともに日本人でなければ、さらに難しい生き方を強いられることが伝わってきます。登場人物たちはみんな女性で、女性であるが故に気を使わないといけないこともあって、胸が痛くなりました。その苦労を知ることが出来ただけでも、本書を読んで良かったです。力強さと繊細さを兼ね備えた絵も素晴らしいです。2026/01/17
venturingbeyond
34
連休最終日に昨年度末に読了した傑作のレヴューをようやく書いてます。田舎に住んでいても、多様なルーツを有する若い世代をここそこで目にすることも増えてきた昨今、当事者に様々な課題を抱えさせるエスニックマジョリティのあり方やエスニックマイノリティの存在を不可視化させる社会構造について考えるきっかけを読者にもたらす希有な作品です。同業の皆様にも広く手に取っていただき、目の前の当事者との向き合い方を検討するきっかけにしてもらいたいところ。2025/03/31
JACK
19
☆ 日本で「ハーフ」と呼ばれる事が多い、複数の国や人種のルーツを持つ人々。この言葉には差別的なニュアンスがある。見た目や文化、言葉などが一般的な日本人と違うという事で疎外感を感じる毎日。日本で生まれ育っても「日本人以外」の意味を持つ「ガイジン」扱いされる。日本語や箸の使い方が上手いと赤の他人から「ガイジンさんなのに凄い」と言われ、初対面の人から両親がどこの国の人なのかというプライベートな事を聞かれる。無意識の差別に曝されてきた人たちの苦悩を描く連作短編集。素晴らしい作品で色々と考えさせられます。オススメ。2025/08/21
にたいも
12
下地ローレンス吉孝さんのインスタグラムでおすすめされていて。「ハーフ」「ミックス」ルーツの人々が、日々受けるマイクロアグレッション。「一見笑顔でにこやかなコミュニケーションの光景にみえても、一方は好奇心を満たして満足した反面、もう一方は呆然と立ち尽くすほどのダメージを受けてしまう。さらにそういった経験は、身近な人にさえなかなか理解されることがない、という状況」(下地さん解説 https://to-ti.in/story/hanbun_booklet)自分の大切な人の気持ちとして受け取り考えられる作品。2025/08/31
s_s
10
多様性を認め合う現代社会とは言え、当人たちにとってはツラいと感じる配慮だって存在するのだろうな、と少し思索に耽った。日本を舞台にしたオムニバス形式で描かれる作品であり、様々な事情を抱え(させられ)ている人物が登場するが、こうして描かれている人々も、実際は全体の内のほんの一部分でしかないのだろう。画一的で正しい接し方というものは当然として無いが、それぞれ相手の立場になって共に考える姿勢が大事なのではないかなと。言語や文化の違いが障壁になったとしても、考え続けることこそが事態を好転させる可能性があるのだとも。2025/11/19




