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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
193
窓を開ければ風が吹き抜ける。照らされた小さな枠には限られた思いしか描けないけれど、きっと伝わる。きみはだれ。夕日に染まる向こうには、景色だけではなく音の世界がある。聴こえるかい。ほら、チリーン。金の輪が2つ並んで消えていく。陽が沈んでしまったから。あの窓から見える朧月に俯いた花。華やかさに触れると、なぜ哀しさが生まれるのだろう。朝はやってくるのに光の数だけ涙が滲み、孤独を夜の虹が見守っている。たったひとつの蝋の火が黒いキャンバスに灯っている。素敵な童話を、カシワイさんの優しい手で包み込んでくれる漫画です。2023/10/09
にいたけ
52
構図が映画の様。ベタもあるけど明るく淡い画は読み手の想像力で色付けすることができる。強いハイライトがあたった様にもみえる人物は光の中とも曖昧さともとれる。カシワイさんがこう見えたと主張するのでなくアウトラインの提示で読者の思いに委ねてしまうお話たち。文学作品をイメージして作画しているが、作品のセレクトが秀逸。言葉で説明すると陳腐になりそうなので体感して欲しい作品です。🥰2021/12/21
東谷くまみ
46
光と風が運んできてくれたこの感動をずっと抱きしめていたい。読み終わった後も静かに心が揺れ続ける。日常に広がる異世界の音を絵で聞いた「夕日の国」「金の輪」私の中の小さな私に会いたくなった「こうちゃん」生の祝福、明日への希望が胸に押し寄せる「ごびらっふの独白」人々が幸せであるようにと願う温かい気持ちで満たされた「小さいやさしい右手」「ひとつの火」そして…賢治の心に触れた「注文の多い料理店序文」漫画だから描き出せる事ってきっとある。心の窓にコツンとぶつかることで味わう感動は文学でも漫画でも一緒なんだと思う。2021/05/31
❁Lei❁
38
風に乗ってふわりと舞い込んできた、自然からのお便りのようなお話たち。カシワイさんのさらりとした淡い絵と相まって、それぞれの作品が日の光を反射する露のように輝いています。宮沢賢治の「注文の多い料理店 序」がとても大好きなので、収録されていて嬉しいです。今まで知らなかった作家の作品が多数あり、素敵な物語と出会うきっかけになりました。2021/07/17
akihiko810/アカウント移行中
33
安房直子、小川未明、須賀敦子、草野心平、新美南吉、宮沢賢治。それぞれの短編の世界観を、繊細な余白で紡ぎ出す。7/10点 雰囲気マンガ、ここに極まれり。な作品。「マンガという詩」がここにはある。2023/09/10