内容説明
現実と幻想、人工と自然、現在と追憶が鮮やかに交錯する、緊迫した精神世界をファインダーの中に創造し続ける写真家ベルナール・フォコンの、1977年から1995年までの軌跡をあますところなく辿った、オリジナル編集による完全永久保存版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
uchiyama
2
もう随分前のことになりますが、森の中を歩いていて、モグラの子どもの亡骸を見たことがあります。手のひらに乗りそうな小さな体を枯葉の上に横たえて、前足をきちんと揃え、しっかりと目をつむり、閉じた口元は微笑んでいるように見えました。写真を撮ろうか一瞬迷い、やはり撮らずにいましたが、今でもその姿が、何かの拍子に残像として浮かんでくることがあります。この写真集を見返していて感じるのは、そのときと同じ軽い衝撃のようなもので、こういうことは結局、人と「話す」ことのできない、話せば別の陳腐さに覆われてしまうことですが。2024/12/14