文無し男と絶叫女と罵り男の物語

文無し男と絶叫女と罵り男の物語

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  • サイズ B6判/ページ数 276p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784845709250
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

千年の昔のこと、ラケツという町でとんでもない不運の元に三人の主人公が生まれた。王子として生まれたのに貧乏と悲惨という運命をしょいこんだ「文無し男」、絶え間なく絶叫し戦い続ける「絶叫女」、どこまでも邪悪でものぐさな「罵り男」。この三人、次々と混乱を引き起こし町から追い出されるはめになる。異国の町々をさまよい続け、巻き起こす大騒動数知れず…。随所に挿入されるヨルバ族の諺もとぼけた笑いを誘う。いわば神話的な時空の中に繰り広げられる、アフリカ流運命の不条理の物語。『やし酒飲み』で知られるナイジェリアの奇才チュツオーラ会心の作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

104
疫病神扱いされて土地を追われた夫妻と悪漢の数奇な放浪譚。諺が頻出する特殊な手法で、日本語にも通じる表現から独特なのまで多彩。歓喜や平和と相容れない貧乏、絶叫、中傷、反乱を具象化した主役たちのすっ惚けたやりとりや展開は今回も躍動と活力に富んだもの。苦難に絶望せず環境に耐性をつける文無し男、無能さにアフリカ女性の狭窄した社会性を感じる絶叫女、狡猾ながらプライドもある罵り男と寓意は豊潤。当地界隈の心の動揺をプリミティブな形而上学と結節する幕切れは、キリスト教徒の親と伝承に育てられた経歴が極めて率直に現れている。2022/09/06

さっとる◎

35
皆さんご存知「文無し男」と「絶叫女」と「罵り男」の物語。とても変なタイトルで、とても素敵な装丁をしている。文章も何か変だし中身もおかしい。妙な諺が頻出する。何だか核心をついているような気にもなって何回か読み直してしまう。「三叉路はよそ者の悩みの種」であるし「屋根が燃えているときに寝床に入るのは危険」だろうし「眠ってしまえば死んでもわからない」。んー良い。わからん物語がわかるようなわからん格言でわかった気になり変な文章と相まった力業がこのお話を本当のことに変える。文法は物語に従属するってね、こういうことか。2017/12/05

きゅー

12
『やし酒のみ』が有名なエイモス・チュツオーラの作品。タイトルにもある3人が巻き起こす珍道中の数々が笑える。延々と「熱い絶叫」を繰り返す女、死神との死闘、美女をめぐる争い、悪友との諍い等々を楽しみつつ、気楽に読む一冊となっている。しかし、予言が常に実現することや、彼らが誤った行動をするとそれに応じた罰が与えられることなど、教訓的な意味合いが前面に押し出されているのが気になるところ。魔術的な現実を楽しめるだけなら良かったのに。2014/01/20

白黒豆黄昏ぞんび

11
様々な格言らしき言葉が散りばめられている。ただ、それを意味する本当のところはわからない。単純なお話のようでいて、ものすごく深くて複雑なのかも。2015/04/20

三柴ゆよし

11
貧乏と悲惨の運命を背負った「文無し男」と、彼の妻であり絶え間なく叫び続ける「絶叫女」、とにかく邪悪でものぐさな「罵り男」の三人が繰り広げる珍道中。物語が神話あるいは昔話的思考のもとに展開していくのはチュツオーラ文学の大きな特徴。作品の主題をひとまず「運命」と仮定するなら現代文学的読みも可能だけど、不条理かつ御都合主義な物語の波に身を任せたほうが絶対楽しい。にしても、ホントとぼけた作家だなあ、この人。2009/05/28

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