内容説明
父の顔も知らぬ私生児としての生い立ちから、一切の世俗を捨て、筆ひと筋にと凝っていく潔癖・凄絶な晩年まで、爛熟する江戸期大阪町人文化を背景に、“田舎者”本居宣長との論争、あるいは『雨月物語』等で著名なわが国最大の幻想作家の生涯を、いきいきと再現する、興趣つきない評伝。
目次
堂島の章
わやくの章
雨月の章
加島の章
くす師の章
蟷螂の章
淡路の章
瑚〓の章
春雨の章
紅梅の章
二苦の章
夢の井の章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
14
後書にいう。「この本の売行きを案じたのは、編集氏よりもむしろ著者の方だった」。あいにく杞憂とはならず本当に寂しい読書メーター登録数4である。上田秋成の評伝を兼ねた小説みたいな雰囲気の作品。通読すれば秋成の性格や仕事の仕方などが感じとれるようになっている。国文の学生さんなどにはお薦めできる良作だ。しょっちゅう引っ越しする人であったから、いろいろな地名が出てくるが、関東人にはピンと来ないのは惜しい。近畿在住の方なら肌感覚が伴うことだろう。秋成ファンからすると本居宣長は悪役たらざるを得ないのは仕方ないところ。2021/05/29
紅林 健志
0
小説風の評伝。小説風の書き方に違和感。2015/04/23