出版社内容情報
人気シリーズ「乙女の本棚」第47弾は、文豪・江戸川乱歩×イラストレーター・寿なし子のコラボレーション!小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
内容説明
ああ、何という恐しくも楽しい遊戯だったのでしょう。赤い部屋には、異常な興奮を求めて集った男たちがいた。そのなかの1人が、彼らが欲しているような奇妙な身の上話をはじめる。江戸川乱歩の名作が、相像力を掻き立て物語を深く考えてしまうような作品で話題のイラストレーター・寿なし子によって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ『乙女の本棚』の第47弾が登場。小説としても画集としても楽しめる魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
明治27年(1894年)三重県生まれ。早稲田大学卒業。雑誌編集、新聞記者などを経て、1923年「二銭銅貨」でデビュー
寿なし子[コトブキナシコ]
想像力を掻き立て物語を深く考えてしまうようなイラストをコンセプトに制作を行う。書籍の表紙、挿絵、MVイラスト、キャラクターデザイン、CDジャケットなどを担当している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
161
何十年かぶりの乱歩の名作「赤い部屋」、乙女の本棚シリーズなのでイラストは可愛らしいですが、内容からするともっとオドロオドロしい方があっている気がします。 https://rittorsha.jp/s/otome/3125317404.html2025/07/05
aquamarine
55
乙女の本棚シリーズ第47弾だそうだ。しばらくこのシリーズを追いかけていなかったのでそれほどの冊数を重ねていたことにびっくりした。寿なし子さんの雰囲気のある表紙絵と自分の持っていた「赤い部屋」のイメージがぴったり重なり手に取ったが、表紙絵だけではなくどのページのイラストも素晴らしかった。赤と黒の多いイラストは独特の雰囲気があり、文字だけで読んだ時とは違う不安定な読後感を運んできた。その不安定さがとても好き。2025/07/03
さっちゃん
43
「乙女の本棚」シリーズ。江戸川乱歩×イラストレーター・寿なし子。赤い部屋に集う7人の男たち。やがて一人の男が奇妙な話を始めるが…。/既読なはずだけど内容はうろ覚えだったので、せっかくなら素敵なイラストと共に。男が語るこれまでの人殺しの方法はプロバビリティの犯罪をさらに確率を高めたものが多く、罪に問われないばかりか世間から糾弾されることもない。そんな悪趣味な殺人遊戯の100人目の被害者に男は自らを選ぶが…。さて、ラストはどう取るか。それは読み手次第ということで。2025/07/25
よこたん
37
“皆さん。皆さんは嘗てこういう殺人法について考えられたことがおありでしょうか。” 暗い部屋の中、緋色の天鵞絨をまとった椅子と円卓子、真紅な垂絹がユラユラと蝋燭の焔に浮かび上がる。そこで語られた奇妙な事柄とは。乙女の本棚を読むのはこれが3冊目。本全体を覆うかのような赤と黒の組み合わせが、こんな不穏な空気を孕むとは。初出は1925年と、丁度百年前の作品。古めかしい文章が胡散臭さを連れてきて、とても心地よい。雰囲気的には絵本の体裁なのだが、文章がみっしり詰まっていて、絵の印象は薄く、色ばかり脳裡に漂った。2025/07/14
ぐうぐう
30
遊戯としての殺人が描かれる乱歩の「赤い部屋」。異常な興奮を求めて集まった男達の今夜の告白は、新入会員のT氏。彼の語る内容は、これまで99人を殺したという恐るべき話だった。しかも、どれもが偶然を装った完全殺人、つまりプロバビリティーの犯罪であった。乱歩は律儀にも、その殺人の実例をいくつも披露してみせる。このサービス精神には頭が下がるが、とはいえ、リアリティも積み重なると嘘っぽさが滲み出てくるものだ。そこに乱歩は自覚的で、ラストにどんでん返しをあえて用意する。(つづく)2025/06/02