出版社内容情報
人気シリーズ「乙女の本棚」第40弾は、文豪・芥川龍之介×イラストレーター・おくのコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
内容説明
藪の中で、一人の男の死体が見つかった。だが、関係者の証言はそれぞれ食い違い、果たして真相はどこにあるのだろうか。芥川龍之介の名作が、和のモチーフを独特な感性で描く大迫力の作品で人気を集めるイラストレーター・おくによって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第40弾が登場。小説としても画集としても楽しめる魅惑の1冊。
著者等紹介
芥川龍之介[アクタガワリュウノスケ]
明治25年(1892年)生まれ。東大英文科卒。大学在学中に菊池寛らと第三次『新思潮』を創刊、第四次『新思潮』に「鼻」を発表し夏目漱石にその才能を認められる。代表作に「羅生門」、「蜘蛛の糸」など。死後、菊池寛により芥川賞が設けられた
おく[オク]
和のモチーフを独特な感性で描く大迫力の作品で人気を集めるイラストレーター・漫画家。2022年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』公式サイトのイラストを担当したことでも話題を集めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
130
『乙女の本棚』第40弾はこれ。この装画にゾクゾクする。藪の中・・どこに本当があるのか。初めから本当などないのか。そう。人は己の心のままに都合よく解釈する生き物なのだ。この世界全てが藪の中とも言える・・はぁ。2024/08/10
アキ
90
金原ひとみ「YABUNONAKA」を先日読了したので、元となる芥川龍之介の短編を乙女の本棚で読み返した。初出は1922年。イラストレーターおくは、シリーズ初登場。殺人事件を巡る証言の食い違い、検非違使に語った死骸の発見者・木樵り、前日に姿を見た旅法師、盗人と主張する放免、妻である娘の身の上を心配する媼、あの男を殺した多襄丸の白状、清水寺に来れる女の懺悔、そして最後に巫女の口を借りた死霊の話。そうと信じるとすべての証言が真実味を帯びるが、実際の所は藪の中。YABUNONAKA同様、当人にとっては全て真実。2025/06/08
寂しがり屋の狼さん
62
『乙女の本棚』シリーズ38冊目。作者は同シリーズでは「蜜柑」などで、おなじみ芥川龍之介。押絵は和のモチーフを独特な感性で描く「おく」さん。(◕ᴗ◕✿)真相はまさしく【藪の中】ということなのかな?2024/09/15
竹園和明
47
金原ひとみ『YABUNONAKA』を読んだので、“本家”『藪の中』を。イラストレーターおく氏の想像を掻き立てるイラスト付き絵本版。人気のない藪の中で侍の死骸を発見した木こり、侍と妻を見かけたという旅法師、犯人を捕えた男、侍の妻の母親、犯人と思しき男、清水寺に現れた侍の妻、巫女の口を借りた侍の死霊…の証言が語られるも、特に当事者3人の話は食い違い、真実が全くわからない。そこに人間の狡さと卑しさ、更にはしたたかさまで端的に表した太宰治さすがの名作。そして金原ひとみ版の狙いと完成度の高さに改めて驚愕した次第!。2025/05/01
ちえ
37
多くの芸術家に影響を与えてきた芥川龍之介の短編。まず表紙の絵にゾクゾクして心を掴まれページをめくる。女の心理、言動、それに操られるような盗賊。三者の表情、目、特に妖しげな女の表情には狂気を感じる。「乙女の本棚」シリーズ、第40弾。2024/12/29