出版社内容情報
人気シリーズ「乙女の本棚」第29弾は、文豪・泉鏡花×イラストレーター・しきみのコラボレーション!
戯曲としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
内容説明
竜神が住むといわれる夜叉ヶ池。1日3回鐘を撞かなければ、池から津波が起こり、村は水の底に沈んでしまうという言い伝えがあった。泉鏡花の名作が、有名ゲームのキャラクターデザインなどで知られ、本シリーズでは萩原朔太郎『猫町』、『詩集『青猫』より』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』、夏目漱石『夢十夜』、坂口安吾『桜の森の満開の下』、谷崎潤一郎『魔術師』を担当する大人気イラストレーター・しきみによって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第29弾が登場。戯曲としても画集としても楽しめる魅惑の1冊。
著者等紹介
泉鏡花[イズミキョウカ]
明治6年(1873年)石川県生まれ。尾崎紅葉に師事。1895年に「夜行巡査」「外科室」を発表して話題となる。その他の代表作に「高野聖」「歌行燈」など。金沢市にある生家跡は、現在泉鏡花記念館となっている
しきみ[シキミ]
イラストレーター。『刀剣乱舞』など、有名オンラインゲームのキャラクターデザインのほか、多くの書籍の装画やファッションブランドとのコラボレーションを手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
106
1913年3月初出。泉鏡花の妖しい世界。夜叉ヶ池は、岐阜県と福井県の間にまたがる実在の池。千年前の平安時代に生まれた夜叉姫神話を、今から百年前戯曲にした。大正時代にこの神話はまだ信じられていたのでしょうか。旱魃の雨乞いに、村一番の美女を牛の背に裸身で乗せて生贄にするとは、なんとも前近代的な話し。夜叉ヶ池には竜が棲み、綺麗な石が毒蛇の鱗、花は人の目を誘い、水は人の心を引くなど古語で読みにくかったが、美文にしきみの美しいイラストレーションが映えます。夜叉ヶ池まで登山してみようかな。ちょうど紅葉の時期ですね。2023/10/13
J D
66
コロナに罹患する直前に読んだ本。コロナにヤラれてようやくダルさが抜けて来たのでとりあえず読んだ本をアップします。このシリーズは、キレイな挿絵に助けられます。白雪も百合も美しい。昔は、こんな悲しいことが、本当にあったんだろうな。体調もだいぶ回復してきたので、これから、ぼちぼち読んで行きます。2024/06/03
優希
52
大好きな幻想の物語。夜叉ヶ池の伝説は大正時代になってもまだ信じられていたのでしょうか。生贄を捧げるというのがあまりにも美しく残酷で鳥肌が立ちました。伝説はいつまでも伝説として残るのかもしれません。2023/11/10
Comit
42
県立図書~「乙女の本棚」シリーズ第29弾~泉鏡花×しきみ~風化しつつある龍神伝承にまつわるお話。龍神の鐘撞き晃と百合の恋、龍神白雪の恋がそれぞれ描かれていますが、結末は明るいものではありません…ラストのイラスト、彼らが常世でにこやかに過ごせていますように。2023/03/08
ぐうぐう
34
「乙女の本棚」で再読する『夜叉ヶ池』。このシリーズに戯曲が採用されるのは、初めてではないか。『夜叉ヶ池』は戯曲であることの不自由さが物語を演出し、戯曲であるがための自由を得てもいる。ここで描かれる恋や生き様は、何かに縛られたものとしてあって、それがつまり不自由さだ。そして、その拘束が解かれた時、それが自由となって、各々の想いが放たれ、各々に幸と不幸が降りてくる。泉鏡花のこの戯曲は、舞台や映画になっているが、しきみの画は、アニメーションの可能性も充分あり得ることを示唆している。2023/03/10




