内容説明
お前さんの命を貰った代りに、私はさぞ美しくなったろうねえ。刺青師の清吉には、いつか理想の美女の肌に刺青を入れたいという野望があった。谷崎潤一郎の『刺青』が、ノスタルジーを感じさせる美しい作品で大きな話題を呼び本シリーズでは坂口安吾『夜長姫と耳男』を担当するイラストレーター・夜汽車によって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第21弾が登場。
著者等紹介
谷崎潤一郎[タニザキジュンイチロウ]
明治19年(1886年)東京生まれ。東京帝国大学国文科中退。在学中に同人雑誌「新思潮」(第二次)を創刊し、「刺青」などを発表する
夜汽車[ヨギシャ]
イラストレーター。少女を描くことと19世紀末の挿絵画家を好む。懐かしいような落ちついた雰囲気のイラストを目標に制作している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
94
耽美系。若い彫物師の清吉は、とても腕利きで客が痛みに苦しむ様を舌なめずりして喜ぶたちだった。いつかは美しい女の肌に作品を彫りたいと願う。ある晩、清吉は駕籠屋の簾からのぞく、女の美しい足に惚れ込む。5年後、理想の足を持つ少女と再会し、その背中に蜘蛛の刺青をいれる。▽絵が美しい。2021/08/06
アキ
89
谷崎潤一郎初期の1910年初出の小品。刺青師の得も言えぬ陶酔の世界。女の素足の清冽な描写。5年越しの望みを果たす、娘の背中への女郎蜘蛛の刺青。湯へ浴り苦痛に耐えた女は、今迄の臆病な心をさらりと捨てて、剣のような瞳でまず清吉を射抜いた。夜汽車の絵とコラボした乙女の本棚の新刊です。2021/07/09
ちえ
50
谷崎潤一郎自身は「刺青」を処女作と言っているとのこと。針を刺される人の苦しみを快楽としていた刺青師の宿願は自分が求めていた美しい女の肌への刺青。念願を果たした時「ーお前さんは真先に私の肥料になったんだねぇ」娘は女になり剣のような瞳を輝かせた。細部まで描かれた絵もとても綺麗で引き込まれた。最後の絵はもっと「女」を感じられたら更に良かったな。2021/09/19
優希
47
谷崎の処女作はSEの香りが漂っていました。妖艶で不思議な色彩に彩られながら語られる物語が美しい。文章でしか表現できない世界とイラストでしか表現できない世界の融合が綺麗ですね。2023/11/05
たまきら
46
百年以上前に書かれた谷崎のザ・陰翳礼讃。男に都合の良いファム・ファタールを描かせたらこの人ぐらい最低ですごみのある人はいないと思う。この男の世界を描くにはあまりにも可憐すぎるイラスト。「美少女」が、何か違う禍々しいものへと変化していくところを描いてほしかったです。…って、乙女に何を読ませてるんじゃい。2023/12/01




