内容説明
初夏の夕べ、恋人と公園へ行った私は、そこに小屋を出している若く美しい魔術師に出会った。谷崎潤一郎の『魔術師』が、有名ゲームのキャラクターデザインなどで知られ、本シリーズでは萩原朔太郎『猫町』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』、夏目漱石『夢十夜』、坂口安吾『桜の森の満開の下』を担当する大人気イラストレーターしきみによって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ『乙女の本棚』の第17弾が登場。
著者等紹介
谷崎潤一郎[タニザキジュンイチロウ]
明治19年(1886年)東京生まれ。東京帝国大学国文科中退。在学中に同人雑誌「新思潮」(第二次)を創刊し、「刺青」などを発表する
しきみ[シキミ]
イラストレーター。『刀剣乱舞』など、有名オンラインゲームのキャラクターデザインのほか、多くの書籍の装画やファッションブランドとのコラボレーションを手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
美紀ちゃん
81
年中お祭りのように騒がしい公園、夢の中のやうな重苦しい感じ。 大きな赤鬼の頭のような入り口の魔術師の劇場。 その中では、王のような魔術師がいて(イケメンだという)魔術師の暗示で観客全体に錯覚がおき、時間短縮の妖術をかけられる。 魔術師は人の姿を変える術が使える。 観客の女性がクジャクに変えられてしまう。 主人公の彼も彼女と一緒に半羊神にされてしまう。 怖いが美しい文章と美しいイラストに引き込まれた。 日本の名作に今時のイラストがついた「乙女の本棚シリーズ」他の作品も読んでみたい。 2021/03/23
モリー
80
話の筋は意外と単純で、恋する乙女とモテ男のもつれ話です。しかし、難解な語彙と言い回しがおぞましさと美しさが同居する妖しい舞台を生み、危険な香りを放ちます。読者も主人公ともども、まんまと魔術師に繰り出す魔法の犠牲となることでしょう。ところで、恋する乙女とは、こうも不安なものなのでしょうか。自分が男に愛されているか試さずにはいられないのでしょうか。そして、男を束縛せずにはおられないのでしょうか。あ〜、一度でいいからこんな風に束縛されてみたかった、モテ男になってみたかったと思ってしまうのは私だけでしょうか。2021/11/23
J D
79
謎に包まれたまま終わりを迎え、謎が謎のままになってしまった。なんで、彼女は魔術師似合うために彼を誘ったんだろう?謎だ。自分は魔術師の妖艶さに負けない自信があるなら一人で行って証明してきたらいいのに。なぜ、彼はファウンになって魔術師の近くで踊り狂いたいのだろう?謎。魔術師は変形術のために奴隷を六人犠牲にしたけどこれを2ヶ月続けたらざっと360人の奴隷が必要だけどどうやってそんな人数の奴隷を確保しているんだろう?謎だ。最大の謎は、回想から始まるこの小説。ということは今も魔術師と一緒にいるのかな?謎だ。2024/11/10
しゅてふぁん
57
何度読んでも不思議な世界観で入り込むまでに時間がかかる、でも一度吞み込まれてしまったら一気に魅せられてしまう『魔術師』。私の中での魔術師はもっと妖艶なイメージだったかな。この作品のイラストは可愛らしい感じだった。「私」の「恋人」がとても雰囲気があって素敵だった。イラストも色使いも原作との関係性も含めて、10冊以上読んだこのシリーズの中で一番好きな作品かもしれない。2021/07/17
たまきら
44
時に薄汚いものを格調高い文章で語る巨匠・谷崎。人魚の嘆きとともに魔術師が入った一冊では格調高い挿絵が入っていて素敵でしたが、こちらのイラストでは大人の世界というよりは大人になり切れない少年少女の危うい世界観が感じられて、これはこれで面白かったです。谷崎が見たらどんな劣情に満ちた作品を作ったことか、ぷぷぷ。娘さんはパラ見。2022/11/02
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