内容説明
「俺を敗残兵と見るのは勝手だが、闘争に負けたわけではない。現に一人になっても闘争をつづけている…政治闘争として空港反対をしたから、何も成果を得ないままやめるわけには行かないんだ」日本社会党がとっくに消滅したのちも、いまだ政党オルグの衣を捨てられない男。空港建設決定から半世紀弱、成田闘争を「歴史」に移行させていいのか…
著者等紹介
桑折勇一[コオリユウイチ]
昭和14年(1939年)福島県に生まれる。37年朝日新聞記者になり、千葉支局、大阪社会部などを経て、成田・盛岡・水戸支局長。平成7年、テレビ朝日系列の岩手朝日テレビに創立のため出向、同16年退任。成田支局長だった昭和57年に『物語・戸村一作』(朝日新聞社刊)を執筆。早大卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
10
図書館にて。2013年刊行。版元の崙書房も2019年7月に解散した。自分はつくば市の有朋堂書店の近くに住んでて…まぁ、運動とかには関係ないです。東京警備保障のつくば支所でバイトしてたから、強いて言えば逆側かしら。東京警備の成田支社とかあったりした▲反対同盟のスローガンは「農地死守」「問答無用 話し合い拒否」「空港実力阻止」など。共産党は宮顕の自主独立路線に沿って、日米支配層の自衛隊と米軍による土地の取り上げに反対する軍事基地反対。しかし、共産党にとっては成田は諸要求のひとつの付随項目にすぎない。2021/02/11
うたまる
2
「だっておめぇ、空港関係では四万人も働いているンだぞ。廃港にして見ろ。この連中をどうやって食わせるンだ」「それは政府と千葉県が考えればいい」「馬鹿。ガキみてぇなこというな」……旧社会党オルグ、加瀬勉を軸に描く成田闘争史。通史で見ると国側がほぼ大人の対応をし、反対派が駄々っ子そのものだった。条件闘争なら理解できる。しかし話し合いを断固拒否とか、とにかく国を屈服させたいとか、人殺しも可とかは意味分からん。こんな馬鹿な闘争をやらかしたお陰で、無駄な地方空港建設の反対運動にも国民がそっぽ向くようになったんだよ。2016/07/08