感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
16
中里和人とつげ忠男が対談をしている文章に本書が出てきて、つげ忠男の描く荒涼とした河原の風景に通じるものを感じ手にとった。実際は、造成地にやってくる暴走族(写真は80年代に撮られている)やサラリーマン、若者といった人物の写真も多いが、彼らの今ではもう見かけないファッションや雰囲気をも含めて、埋め立て地にはびこる雑草や建設資材、削りかけの土地あるいは別の場所から運び込まれた土砂等、埋もれ消えてしまったものたちの遺影にも見える。最後の、一つ目のお化けのような照明に浮かび上がる殺風景な土砂と道路の写真が一番好き。2019/11/23