出版社内容情報
労働者「差別」をいかに認定し救済すべきか
労働者「差別」とは何かどのように救済すべきか。
労働者「差別」を、国籍・信条・社会的身分による差別、性別を理由とする差別、労働組合への所属やその正当な活動を理由とする差別、正社員と非正規労働者との処遇格差、に分類し、その認定、救済の在り方を探求する。
男女差別、組合差別、非正規雇用に関する意見書も収録。
◎内容紹介
広い意味での労働者「差別」は、三つに分類できる。第一は、いわば伝統的な差別であり、労基法三条が禁止する国籍、信条または社会的身分による差別と、同四条および男女雇用機会均等法が禁止する性別を理由とする差別である。第二に、労働組合への所属や労働組合の正当な活動を理由とする差別的取扱い(労組法七条一号)がある。これは、差別の認定や救済方法などの点で伝統的差別と共通性もあるが、集団的労働法の問題として、通常は伝統的差別と別個に扱われる。第三は、正社員と非正規労働者との処遇格差である。これは、労働契約に根拠をもつ制度上の区分である点で伝統的差別と区別されることが多いが、本来平等に扱われるべき労働者が合理的根拠なしに別異に扱われる点で伝統的差別と共通性をもつ。形式的な性差別が解消しても、長時間労働など一般的労働条件の劣悪さのゆえに女性が非正規雇用に追いやられるという問題は、伝統的差別と正規・非正差別が現実にも「地続き」の問題であることを示している。そうした考慮もあり、本巻で伝統的な差別と非正規労働者にかかわる論稿をあわせて収録している。
本巻では、まず思想による賃金差別に関する判例研究論文を一つ、男女差別に関する論文・意見書を合計七つ、そして、組合差別に関する意見書を二つ収録している。国鉄分割民営化に関する判例批判は、組合差別の問題ではあるが、主たる争点が差別の認定よりは責任主体にあったので、官公労にかかわる問題として第11巻に収録している。最後に、非正規雇用に関する論文・意見書を合計八つ収録している。そこには、正規・非正規の格差問題のほか、パート労働や派遣労働に固有の問題が含まれている。
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