出版社内容情報
今、社会を覆う危機を前に、問われているのはまさに「共同の力」ではないだろうか。グローバル資本企業の目的を自らの目的として競争に生きる人間ではなく、人々の生存と安全と自由と平等と持続のための共同をつくり出すことのできる主体的人間を教育の目標としなくてはならない。表現、自治、民主主義、方法としての政治を、人間の主体化にとって決定的に重要と考え、教育的価値として位置づけ直す。
内容説明
「資質・能力」論か「学力と人格の結合」論か。パンデミック、気候変動、侵略戦争…人類史的危機の中で教育の責務を考える。
目次
第1部 世界と子ども世界の平和の危機の中で(平和を回復するための思いをつなげあう場を教室の中に取り戻す―ロシアのウクライナ侵略戦争の中で教育を考える;社会・世界・自らの生活世界を平和の方法でつくり出す―主権者を「現れさせる」民主主義の空間をつくり出す;個を切り拓く方法として民主主義をとらえる―教育における民主主義の意味と役割 ほか)
第2部 学力と人格の関係をめぐって―「資質・能力」論批判(コロナパンデミックと新自由主義―危機の中から教育の未来を切り拓くために;「学力と人格の結合」論と「資質・能力」論―今、学力問題はどこに存在しているのか;評価と「資質・能力」論―高校における観点別評価をどう考えるか ほか)
第3部 方法としての政治と新自由主義による人間管理(「危機の時代」の教育と教育的価値としての政治―学びと発達の場に「自治と共同のための政治」を;M・フーコーの新自由主義把握の検討―競争を生み出す統治技術と「生政治」;新自由主義と「ホモ・ポリティクス」vs「ホモ・エコノミクス」―ウェンディ・ブラウン著『いかにして民主主義は失われていくのか―新自由主義の見えざる攻撃』の提起するもの ほか)
著者等紹介
佐貫浩[サヌキヒロシ]
法政大学名誉教授。教育科学研究会常任委員。平和・国際教育研究会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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