出版社内容情報
1990年代以降、冷戦の「終焉」とソ連・東欧の崩壊によって世界は大きく変化し、世界戦争の時代は終わり平和と軍縮の時代がやってきたと主張する論調があったが、ウクライナへのロシアの侵略や中国の覇権主義の動きをみても分かるようにそれらは全くの幻想であったことがはっきりした。現在の状況を「帝国主義」という視角から分析したのが本書である。
内容説明
九〇年代以降に本格化した日本の帝国主義化の特殊な相貌―アメリカ帝国主義への従属、帝国主義化を阻む日本国憲法と運動、日本企業の多国籍化の特質から来るアジア志向、新自由主義改革との並行―を歴史的に描く。
目次
1 現代日本の帝国主義化―形成と構造(現代日本社会・政治の解明の鍵としての「帝国主義」―問題の所在;現代帝国主義の諸特徴―理論的諸前提;戦後における日本帝国主義の復活過程の概観;早熟的帝国主義復活とその挫折(一九四八‐六〇年)
日本資本主義の非帝国主義的発展と企業社会の形成(一九六〇‐八〇年)
日本資本輸出の新段階と現代型帝国主義の追求期(一九八〇-九〇年)
日本帝国主義復活の新段階(一九九〇年-))
2 帝国主義的改革と対抗の戦略(「構造改革」圧力の増大;一九九六年総選挙による新たな政治的枠組みの形成;現代帝国主義化のための改革・その一 大国主義的改革;現代帝国主義化のための改革・その二 新自由主義的改革;既存企業支配の再編と企業社会的統合の縮小;現代日木社会の矛盾の顕在化の形態;変革の展望とオルタナティブな社会の構想―小括)
解題にかえて・本書執筆の頃
著者等紹介
渡辺治[ワタナベオサム]
一橋大学名誉教授。1947年東京都生まれ。1972年東京大学法学部卒業、73年4月より79年3月まで東京大学社会科学研究所助手、79年10月より同研究所助教授、1990年4月より一橋大学社会学部教授、2000年4月より10年3月まで同大学大学院社会学研究科教授、この間、2004年12月より06年11月まで同大学院社会学研究科長・社会学部長、2010年名誉教授。2001年より10年まで東京自治問題研究所理事長。2012年より15年まで日本民主法律家協会理事長。2004年より「九条の会」事務局(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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