目次
プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
著者等紹介
竹信三恵子[タケノブミエコ]
ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011‐2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mc6ρ助
18
『賃金が上がらない理由は、グローバル化というより、企業が上げた利益を「競争力強化」に回すため、労組をはじめとする、賃上げを可能にするさまざまな仕組みを壊し続けてきた政策にこそあるのではないのか。(p35)』非正規雇用やらいろんな要因は分かっていたけど、この「関西生コン事件」、資本家サイドはとにかく警察・検察・裁判所が産別組合に向けるこの敵意はなんなんだろう。労働三法どころか憲法28条がないがしろにされあげくに解釈改憲なんて9条で見慣れた景色ではあるけれど。三権を良識ある人々が運営する社会はすでに夢なのか?2023/06/16
おおかみ
11
労働問題の取材で名高い著者の渾身のルポ。逮捕が大々的にニュースになって以降、裁判はゆっくりと進み、時間だけが過ぎていたが、本書が登場し、そして斎藤貴男、佐高信、鎌田慧といった名立たるジャーナリストが相次いで書評を書いたことで潮目が変わったように思う。刑事事件としてのみ受け止められていたところを、労働事件としての本質に真正面から向き合ったわけだ。/出る杭は打たれる――事件を通して、この国からなぜ貧困がなくならないのかが見えてくる。2022/01/17
どら猫さとっち
10
関西生コン事件を基に、労働運動の在り方、そして人間として働くことの意味を探る渾身のルポ。本書で驚いたのは、労働運動自体が犯罪になるということだ。この国は、人間らしい労働も生活も、許されないのか。ブラック企業が問題視されて10年近く経とうとしている今、もう一度本書で、原点に立ち返るべきではないだろうか。そして、労働組合も問題化しているなか、労働を支えている機構もまた劣化しつつある。これは警告の書である。2022/04/30
にゃんにゃんこ
7
私達が組合を作って会社に賃金の要求や待遇改善を求める活動は、法律で認められている労働者の権利である。ストライキや労使交渉は、正当な手段であって暴力行為では無い。86人の逮捕者を出した「関西生コン事件」は、政府と経営者が結託して労組潰しを行った犯罪だった。情報の隠匿とマスコミの洗脳によって、善と悪が真逆にされている。事件の裏にある、おぞましい人間の悪を知ると背筋が寒くなる思いだった。2025/03/13
少穆
1
国家権力が積極的に憲法無視してくるとかとんでもねーなJapan。2022/04/24