内容説明
平成の天皇とは何であったのか?右派・伝統派が批判し、「リベラル」派が礼賛した「旅」と「おことば」は憲法に定める「象徴としての務め」だったのか?憲法遵守を謳って即位した天皇が、いかにして憲法から「離脱」したのかを明らかにする!
目次
第1章 「平成」前期の政治と天皇(冷戦後の政治の大変貌と天皇の新たな利用;天皇の役割をめぐる新たな対抗の台頭―右派の新天皇への懐疑と批判;第一ラウンド「日韓『おことば』摩擦」をめぐる政治と天皇;天皇訪中をめぐる支配層内の対抗と天皇;「皇后バッシング」という形での右派の天皇・皇室批判とその終熄)
第2章 「平成流」の確立と憲法からの離陸(九〇年代中葉以降の政治の激動と、政治と天皇制との距離;「平成流」の確立;天皇明仁の「象徴」「憲法」「戦争・平和」観の構造;皇位継承問題への執着―皇太子批判から女系天皇、女性宮家構想まで;保守政治と天皇の緊張関係)
第3章 「復活」安倍政権下、保守政権と天皇の緊張と対立(第二次安倍政権の政治的ねらいと天皇;第二次安倍政権下での保守政治と天皇の緊張の激化;退位問題をめぐる攻防)
小括「平成流」の遺産(徳仁天皇へ;「平成流」の遺産;象徴天皇制の将来へ向けての二つの課題)
著者等紹介
渡辺治[ワタナベオサム]
一橋大学名誉教授、九条の会事務局(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
13
▼著者は政治学者。平成の天皇による言動の違憲性を指摘する。▼右派に批判され左派に礼賛された明仁天皇。そのことを著者は「薄気味悪い」と評する。明仁天皇の人間性を誉める本が多数ある中で、この本の立場は際立っている。▼「明仁」、「雅子」などと呼び捨てで表記。「雅子のわがまま病」などの表現があり、下品な印象を受けた。▼天皇退位に反対する右派が違憲論を持ち出した面白さを紹介している。その評価に共感した。▼ 出典が文春や新潮など週刊誌ほか雑誌も多く、独自取材した部分があるのか疑問。学術書、専門書とは言えない本だろう。2022/02/11
たろーたん
1
平成天皇が打ち出した路線は二つ。一つは「開かれた皇室」論で、昭和天皇の権威とは異なり、今まで以上に皇室が国民の前に姿を現して触れ合おうというもの。これは昭和天皇のように権威を備えていない明仁が国民と離れて神事だけをしていたら国民はついてこないという危機感からだ。もう一つが「過去の戦争へのこだわり」で、皇太子の時から明仁は「終戦記念日」「広島への原爆投下の日」「長崎への原爆投下の日」「沖縄戦終結の日」をあげ、とりわけ沖縄には数度にわたって訪れていた。(続)2024/11/04
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