内容説明
原発の耐震性は一般住宅より低いという衝撃の事実!「原発敷地に限っては強い地震は来ない」という地震予知に依拠した原発推進。あなたの理性と良識はこれを許せますか?
目次
第1章 なぜ原発を止めなければならないのか(危険とは何か;福島原発事故とは;被害の大きさにおける危険;事故発生確率における危険)
第2章 原発推進派の弁明(住宅とは比較できない―一番目の弁明;原発の耐震設計は地表を基準としていない―二番目の弁明;強震動予測―三番目の弁明;電力不足とCO2削減―四番目の弁明;原発を止める当たり前すぎる理由;放射能安全神話―原発推進派の最後の弁明)
第3章 責任について(三・一一後の私たちの責任が重い理由;司法の責任;私たちの責任)
著者等紹介
樋口英明[ヒグチヒデアキ]
1952年生まれ。三重県出身。司法修習第三五期。福岡・静岡・名古屋等の地裁・家裁等の判事補・判事を経て2006年4月より大阪高裁判事、09年4月より名古屋地家裁半田支部長、11年4月より福井地裁判事部総括判事を歴任。17年8月、名古屋家裁部総括判事で定年退官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ルピナスさん
49
原子力は今や家畜となったと説いた中曽根元総理の主張に対し、ドイツの哲学者ハイデッガーの言葉「人が常に管理し続けなければならないということは人が管理できないのと同義である」が引用されている。基準値振動である700ガル(震度6)を超える地振動は将来にわたって原発の敷地には来ない、という根拠不明の将来予測に基づいて稼働し、裁判となれば専門技術訴訟の色を全面に打ち出し、裁判官の判断を鈍らせて来たとは。著者は、科学者ではなく科学を信奉し、理性と良識で闘いたい、と。本を読み知った者の責任をひしひしと感じている。2021/07/24
読特
40
判決理由はいたってシンプル。日本各地で起きた過去の地震。その大きさの揺れが、「原発だけには絶対に来ない」と言い切れるかどうか。間違えれば未来がない。温暖化は防止せず、コストも高い。しかし、それ以前の問題。高度な知識はいらない。良識さえあれば判断できる。…判決が出た2014年以降も続々と再稼働を決める原発。配管・配線含めると耐震強度はそれほど上がっていない。事が起こればこの国の歴史が終わる。その日は、唐突にやってくる。「将来脱原発を目指すが当面は活用するしかない」の言い訳に、甘んじている人々も罪は同じ。2025/09/05
ふう
29
映画を観て。専門技術訴訟にしないで高校生にわかるレベルで論点を示してくれる。そして、3.11を経験した私たちの責任は重い。2022/10/29
サトシ@朝練ファイト
29
随分と読みやすかったです。著者は大飯原発の運転差し止め判決を出し名古屋家裁に左遷になったと言われています。その辺りは本文を読んで頂きたいが、「司法の責任」「裁判官の姿勢」を読むと問題点を的確に捉え簡潔に表現していると思います。(木谷明氏の名前も出てきます)三重県出身ということで南島町の原発建設の是非をめぐる経緯も著者の心象に影響を与えているのか?なんて想像しました。2021/04/18
ロビン
29
2014年に大飯原発運転差し止め判決を下した樋口英明元裁判長が、原発の危険性を論理的に説いた一冊。福島原発事故が2号機、4号機に偶々起こった「奇跡」により「東日本壊滅」という最悪のシナリオを回避したことや、免振重要棟の大切さ、多くの原発の耐震性は一般住宅や会社のビルの耐震性よりも低く、その低さの根拠は不可能とされる地震予知に基づいていることなどが明快に書かれている。「無知は罪、無口はもっと罪」との言葉が刺さる。いけないのは「善人の沈黙」である。自分なりに原発の怖さを発信し続けていきたい。一読を乞う。2021/03/13