内容説明
これが集団的自衛権の現実だ!“米軍支援”の名のもと、自国となんの関係もないベトナムに延べ三〇万人を超す兵士を送り込み、兵士だけでなく社会にも大きな傷跡を残した韓国軍。安倍政権が強行した「安保法」による米軍との一体化は何をもたらすのか。
目次
第1章 今も続く枯れ葉剤被害(ベトナムで失った人生;枯れ葉剤戦友会 ほか)
第2章 ベトナム戦争の韓国軍(国立墓地に眠る兵士たち;北韓一七度線と三八度線 ほか)
第3章 虐殺の真相(被害者から加害者に;殺される側の証言 ほか)
第4章 兵士の病と戦死(冬の兵士;兵士の非人間化と心の病 ほか)
第5章 対テロ戦争と集団的自衛権(ベトナム後の海外派兵;初の戦死者 ほか)
著者等紹介
〓淵弘[ベヨンホン]
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。AFP通信社東京支局とAP通信社ソウル支局写真記者、『サンデー毎日』編集部記者などを経て独立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
11
20頁。ベトナム戦争における韓国兵枯れ葉剤被害者。2015年3月現在の統計では、後遺症5万885人、後遺疑症8万9147人、遺伝で罹患した子の数を合わすと、なんらかの形で後遺症に苦しむ人は14万133人に達する。それにしても14万人という数字は尋常ではない。1964年7月の派兵決定から73年3月の撤兵までの8年8ヶ月間にベトナムに送り込まれた韓国兵は実質25万3000人になり、今も生存するのは19万人。症状に差があり、因果関係が不明瞭な点があるとはいえ、参戦兵士の6割近くが枯れ葉剤の被害を受けたことになる2016/12/28
skunk_c
10
集団的自衛権と軍事同盟によりベトナム戦争に参加した韓国軍が、枯れ葉剤を浴びたりベトナム人虐殺(元兵士はほぼ否認)の嫌疑をかけられたりすることを丹念にレポート。また、ゲリラ戦やテロに対する正規軍行為は、ゲリラやテロリストと民間人の区別がつかないため、ほぼ間違いなく民間人の犠牲者を大量に出すことが示され、アメリカのアフガニスタンやイラクでの戦闘がベトナム化したことを示す。そしてテロやゲリラは戦闘力の強い正面ではなく兵站=後方支援部隊をついてくる。理念ではなく実例から日本の集団的自衛権政策を批判している。2016/07/02
かじやん0514
8
この本、すごく重要。①米国と軍事同盟を結ぶと軍隊派兵圧力から逃れることは困難であり、日本国憲法9条が強力な歯止めであることが浮き彫りに。②他国を攻めるなど、加害者になることの危険性が分かる。③日韓の社会運動が連帯しなければならないことも分かる。直接書いていないけど。あと、やはり、軍事同盟はなくすべきものだと思った。アジアの平和構築のためにはアジア諸国が連帯して対米関係を見直さないとだめだな。2016/06/04
樋口佳之
7
海外で米国の戦争への一層の加担を可能としている以上、各国の歴史を知る事は大事/だれかを殺した場合、「こいつがベトコンだとどうしてわかる?」と聞かれれば、「死んでいるじゃないか」というのが決まり文句で、それで十分だったわけです。/冬の兵士の証言なので韓国とは直接関わりないけどショックでした。2016/08/01