内容説明
働く者の世界にいま何が起きているのか!?若者の貧困と過酷労働を直視し生活保護バッシングと対抗しつつ福祉国家を展望する。
目次
第1章 時代転換の諸断層―若者に集中する貧困と過酷労働(若者を犠牲にした雇用政策;派遣労働の変容と派遣労働者の闘い;若者の貧困―家計自立型非正社員;若者の過酷な労働―周辺的正社員)
第2章 貧困・過酷労働と闘う社会労働運動―新たな福祉国家とジョブ型労働市場の提起(立ち現われた課題・時代が求める課題;反貧困から福祉国家へ;貧困と過酷労働を克服するジョブ型労働市場;財源問題の労資対抗)
第3章 立ち上がる若者ワーキングプア―面白くて楽しい運動へ(ワーキングプアから若者ユニオンの担い手へ;立ち上がる少数者;面白くて楽しい労働運動と若者の成長プロセス)
第4章 ユニオン運動の新機軸―その方向・様式・文化(新しいユニオン運動;労働組合組織の改革方向;組合民主主義と運動文化の改革)
著者等紹介
木下武男[キノシタタケオ]
昭和女子大学特任教授。1944年福岡県生まれ。東京理科大学工学部・法政大学社会学部を卒業し、75年法政大学大学院社会学専攻修士課程修了。法政大学などで非常勤講師をつとめ、99年鹿児島国際大学教授、2003年昭和女子大学教授、10年より現職。専門は労働社会学、現代社会論、女性労働論。最近は、若者の非正規雇用、格差問題を重視(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
35
ワーキングプア状態に置かれている若者の労働市場において、新たな福祉国家形成とジョブ型労働市場形成の展望のためにどのような労働運動が求められているのかを考察した内容です。現在の史上最大の大企業の儲けの背景には、派遣労働や長時間過密労働など、若者を酷使する労働環境があります。本著ではそれがなぜ生み出されているのかの理論的整理を行った後に、それを若者自らが変えようと立ち上がっていることを明らかにしたうえで、労働運動の持つ意味を考えることができました。2018/12/28
きいち
7
大分キヤノンでの労働者支援を闘ったことで知られるようになったNPO「ガテン系連帯」の人による最前線のレポート。他に「東京東部労組」「首都圏青年ユニオン」「POSSE]の事例を通じ、過去の労働運動とは異なる、自分の生活をちゃんと守るための行動が起こってきた背景とその実際を紹介していく。非正規でも正社員でも、もらうべきものを黙っていてもちゃんともらえるわけではない時代になってしまった以上、こうやって一つ一つの案件ごとに連帯し行動していくことはとても大切なことだ。それこそ泣き寝入りは次の被害者を生むのだから。2012/12/09
浅井秀和 「不正規」労働者
4
重要なのは第4章「ユニオン運動の新機軸」だ。 とはいってもこの章を読むだけでは背景を理解できないので、やはり最初から読んだほうがいい。 過酷な労働現場で若者が立ち上がり、どのように労働運動を巻き起こしていくのか。 それは「啓蒙」ではない、組合運動の方法にある。 その方法を知るには「本書」を読むしかない。2015/03/04