内容説明
大田南畝や山東京伝、式亭三馬ら同時代の戯作者たちや社会との関わりの中で、観客を喜ばせる作品を量産した鶴屋南北。江戸の町に生きる等身大の姿をやわらかな筆致で描いた著者渾身の書。
目次
作者修業
“おかしみ”の作者
水中早替り
芝居の料理人
「はなし」のネットワーク
江戸好み
悪の流行
空間の演出者
もうひとつの顔
悪婆と姫
三ヶ津の大作者
和解狂言のヒット
色悪
『忠臣蔵』への挑戦
事の起こり
浅草連続殺人事件
深川の悲劇
最後の諧謔
著者等紹介
津川安男[ツガワヤスオ]
大阪市出身。早稲田大学卒業後、1962年NHK入局。演劇を素材とする中継番組、ドキュメンタリー、連続テレビ小説、銀河テレビ小説などを担当。ドキュメンタリー「雪と炎の祭り」でダブリン国際フェスティバル銀賞受賞。1990年、ドラマ部チーフプロデューサーでNHKを退職。株式会社東京芸術プロジェクト設立。2000年から著述業などに従事する。現在、公益財団法人都民劇場評議員・企画委員。日本演劇協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bapaksejahtera
10
化政期に頂点を極めた江戸歌舞伎で、三ヶ津の大作者とされ、今日迄多くの作品が上演される四代目南北の評伝。長く下積み作者として過ごした後、人枯れしがちな夏芝居に、天竺徳兵衛を掛けて成功する等で頭角を現す。晩年に至り、忠臣蔵の世界を用いた四谷怪談を手掛け、当時としては長命で、華やかな死を迎える。成立から二百年を越し、既に仕来りの定まった演劇において、江戸市民の感情にマッチした「おかしみ」の世界を作り上げた彼の業績を辿るだけでなく、大芝居の金主興行主作者役者それぞれの世界の有り様が、図版を用いて判り易く述べられる2025/07/23
壱星
0
鶴屋南北と耳袋の作者は同時代に生きてたのね。ただ、それだけのことだったらしいけども。何も、かすりもしてないらしいけども。2013/01/06