目次
1 ミクロネシアの「ひと」
2 南魚星
3 トラック島民のことわざ
4 島民のチャモロ語手稿にあらはれたマリアナ諸島の古俗
5 トンキンの地方と安南語
6 古螺城址にゆく
7 うましか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もみじ
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言語学者の泉井久之助が残した随筆、『南魚星』『古典と現代』を採録している。物資不足だった戦中、戦後に出版され、劣化資料として扱われることの多かった両書を上質な紙面で読めるようになった事が嬉しい。前者は東南アジアでの言語調査から、後者は戦中の読書と思索から成った随筆で、言語的、史的考察が全体を貫くテーマとなっている。特に気に入ったのは『南魚星』のうちベトナムの古螺城を訪った際の紀行文だ。著者の筆致は古螺城そのものよりも、道中の農村、市場を描く際に一際冴える。真摯さ、時には厳粛さを感じさせる文体に強く惹かれた2021/06/20