出版社内容情報
戦後、貸本として親しまれ、時代の流れとともに消えていった少女小説。その魅惑を大衆文化研究の神様・唐沢俊一が再発見!「人食いバラ」:大遺産を相続した、みなしごの英子を狙う少女・春美の魔の手!西条八十の幻の傑作ミステリ。
内容説明
大遺産を相続した、みなしごの英子を狙う少女・春美の魔の手!西条八十の幻の傑作ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キキハル
21
こんな表紙と挿絵で、こんなタイトルですが少女小説です。しかも作者はあの詩人の西条八十さん。噂にのみ聞いていた本ですが、なかなか楽しませてもらいました。余命いくばくもない大金持ちが孤児の少女・英子に全財産を譲るという。姪の晴美は英子を妬み憎み、やがて・・・。のほほんとした英子よりも、目的のために知略を尽くす晴美がどうかとは思うが素晴らしい。また監修の唐沢さんの注釈という名のブラックな突っ込みに笑い、巻末付録の貸本少女漫画劇場のホラーさに和みました。50年以上も前の少女たちはどんなふうに楽しんだのでしょうね。2013/03/03
青豆
15
詩人である西條八十によるサスペンス仕立ての少女小説。主人公の英子は孤児であったが元男爵の臨終に偶然遭遇した事により巨額の遺産を手にするが、男爵の縁戚である春美の怒りを買ってしまう。春美が次々と仕掛けてくる巧妙な罠に翻弄される英子。その英子を助ける石神という謎の男(といっても彼の正体は直ぐに見当がつく)の登場など急展開する内容と突飛な設定、御都合主義などという生易しいもでない結末に呆気に取られるも笑いが止まらない。唐沢俊一さんの注釈(ツッコミ)も的確。巻末の漫画で再度大爆笑。2015/01/18
退院した雨巫女。
11
《私‐図書館》あの八十先生に、このような迷作があったなんて!(笑)あの時代だから、言葉使いは、丁寧だけど。タイトルとストーリー展開凄い。2012/04/12
はせ
1
詩人として知られる西条八十の少女小説。近所の古本屋で安値で見つけ購入。ラストはだいたい予想がついたが、少女小説は読むのは初だったので、その雰囲気を味わえたし、非常に楽しめた。解説やツッコミも楽しい。2017/05/06
いちじく
1
図書館で見つけたトンデモ本。このデザインで、作者が西条八十で、少女小説。読みたい好奇心しかない!内容も、表現も、この時代だからこそOKという感じで、今の時代では出版できないと思う。敵キャラのインパクトもなかなかだし、純粋で心優しいはずのヒロインにも結構毒がある。全体的に突っ込みどころ満載で、そんな読者の気持ちを拾うがごとく、註釈が突っ込みを入れてくれている。はー、面白かった。2016/08/11