出版社内容情報
明治初期から戦前まで、全国に散逸した美術展資料を集成。
本企画は、明治初年から第二次世界大戦前までに開催された美術展のカタログを集成するものである。アート・カタログには、作品目録・図版・関係論文・作品解説・年譜などが含まれており、これらは美術研究に欠かせない資料である。しかし、会期中に会場で販売され、書店などの通常の流通経路にのらないため、図書館・研究機関などでの所蔵が極めて少ないのが現状である。本企画は公共機関・私立の団体・個人等の所蔵者のご厚意のもとに復刻集成の運びとなったものである。関東大震災や第二次世界大戦の災禍により失われた美術作品や、海外に流出した日本の美術品を辿ることが出来るほか、新たに発掘された作品を固定する材料ともなる。何を創り、集め、どう評価したか、また美術が社会にどのように受け容れられてきたかという視点は、個々の作品・作家からだけでは得られない。開化以来西洋文化の強い影響をうけた日本文化が、伝統の上に近代化されていく過程を探求することが出来る、もっとも基礎的な資料である。
●016.日本美術協会 第1巻(明治21年~22年)
◆日本美術協会
日本美術協会は、現在に至るまで若い芸術家、美術工芸家の支援育成を中心に活動を続けている美術団体である。明治20年、有栖川宮熾仁<たるひと>親王を総裁として、その前身である龍池会(本コレクション005~007「観古美術会」解説参照)から日本美術協会と改名。明治政府の勧業政策を後押しすべく発足した半官半民の組織であった。「日本美術協会規則」の第一条に「本会ハ広ク優逸ナル新古美術工芸品ヲ採集陳列シテ公衆ノ観覧ニ供シ、以テ美術ノ進歩ヲ促ス目的トス」とあり、美術展覧会が協会の重要な活動であったことがわかる。立派な古美術を示して当時の作家たちにその技を磨かせるという目的のもと、新製品と古製品とを比較対照し、あわせて新製品の優秀なものに褒賞を与えていた。そのスポンサーが農商務省であったが、明治24年から宮内庁の助成金が毎年下賜されるようになると事業が拡大し、年2回の展覧会のほかに、青年美術家と美術工芸家の育成事業などを強化している。



