出版社内容情報
同一初出誌を多数校合、欠字等を補訂した決定版
●第5巻●二百十日・野分
同一誌の同一号でもさまざまな異同が存在する。それゆえ初出誌を多数校合し、可能な限り欠字等の補訂されたページを提供。比較校合の結果及び底本選定の経緯を記した解題を作品ごとに執筆。総論「漱石の雑誌小説本文について」を第3巻に収録。
●本全集の特色●
・本全集は、昨年秋刊行の『漱石新聞小説復刻会集』に続く漱石初出復刻第二弾として、『吾輩は猫である』から『野分』までの雑誌掲載小説をすべて収録した。
・西暦二〇〇〇年は、漱石の英国留学百周年である。それにかんがみ、小説以外にも『倫敦消息』『自転車日記』等留学にかかわる小品を二巻に収録した。
・同一雑誌の同一号でも異同が存在する可能性は常にある。そのため、初出誌をできるだけ多く集め、比較校合の上、本文と保存状態の両面からベストなページを選択し、復刻底本とした。
・比較校合の結果及び底本選択の経緯を記した書誌学的解題を各巻の作品ごとに付した。
・三巻には今回の復刻全集の総論となる新稿「漱石の雑誌小説本文について」を収録した
感想・レビュー
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がらくたどん
19
先日関東で地震があったと思ったら何と阿蘇山が噴煙を上げている。近隣の方々のご心配と共に生きている地球の上で宿を借りている我が身を思う。という訳で、漱石の二百十日を中央公論明治39年10月1日発行の復刻版で。漱石は藤村・独歩等と一緒に「秋期大付録」扱い。人気作家だね。阿蘇を臨む温泉地での、ほぼほぼ圭さんと碌さんの会話で成り立つ小説。ああ言えばこう言う会話劇のようで面白い。総じて二人ともに理屈っぽい。その理屈に手足が生えたような二人がたまに黒い灰が立ち昇る中で阿蘇登山。滑っても転んでも口は達者。さすがである。2021/10/21