出版社内容情報
◎満洲、朝鮮、そして台湾―。さまざまな民族が交錯する「大日本帝国」の勢力圏。その白日夢の内実に迫る、幻の作品群が今ここに甦る。
★018. 野蛮人 大鹿 卓 1936年・巣林書房
「サラマオ蕃」事件で、ひとりの高山族の首をはねた警察官の内部に目覚めていく野蛮性。高山族虐殺を繰り返してきた日本の「植民政策」への告発が込められた表題作など11篇。(解説・河原功)
※著者紹介 大鹿 卓 おおしか たく 1898~1959 愛知県津島町生れ。金子光晴の弟。秋田鉱山専門学校卒業。京都帝国大学中退後、化学教師をする傍ら、詩誌「風景画」「抒情詩」に参加し、1926年、詩集『兵隊』を刊行。のち小説に転じ、1931年、横光利一の紹介で「作品」に『タツタカ動物園』を発表。1935年、『野蛮人』が「中央公論」の懸賞小説に入選する。その後佐藤春夫に師事。主著に『渡良瀬川』(第五回新潮賞)など。
本書の特色
●日本「内地」中心の文学史から抜け落ちた植民地の文学! 待望の復刻選集。
●さまざまな民族の立場から、植民地の諸相が多面的に浮かび上がる。
●歴史的価値が高く、研究者から復刻を強く望まれていた作品を厳選。
●日本人以外の作家によって書かれた日本語文学作品も多数収録。
●各種図書館などにもほとんど所蔵されていない、閲覧困難な幻の稀覯本。
●各巻の巻末に解説(作家紹介、作品の背景、歴史的価値など)を付す。
●今日の近代文学研究の一大潮流である戦時下の文学研究にも不可欠の文献集。
●文学のみならず、近代日本史・アジア史の研究にも大いに有益な資料。