出版社内容情報
整数論の歴史はギリシャに遡って古い。本書は整数の源泉とも言うべき不定方程式をめぐって理論の展開を試みる。代数的整数論の基礎の部分を丁寧に説明し、研究成果への指示にも親切である。扱った題材と叙述形式は類を見ない特色を持つ。
内容説明
整数論の歴史はギリシャにさかのぼって古い。本書は整数論の源泉ともいうべき不定方程式をめぐって理論の展開を試みたもので、代数的整数論の基礎の部分を丁寧に説明し、研究成果への指示にも親切である。本書の叙述は驚くほど自由であって、理論の能率的構成よりむしろ想念の流れを重視しながら書かれている。本書をゆっくりと味読し、演習問題も1題残らずこなしながら巻末に到れば、あたかも大河小説に対するような読後感が得られよう。
目次
第1章 合同式(素数を法とする合同式;三角級数和;p進数 ほか)
第2章 分解形式による数の表現(分解形式;完全加群とその乗数環;幾何学的方法 ほか)
第3章 整除の理論(Fermat定理の特殊な場合;因数分解;因子 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
12
ロシアで書かれた整数論の教科書。初等整数論というよりは代数的整数論がメインの内容でイデアル論と因子論の双方で述べられている。フェルマーの定理に関する読み物で「クンマーが理想数の概念を導入し、フェルマー予想に大きな貢献をした」というエピソードはしばしば目にするが、本書では実際に一定の条件が成立する場合のクンマーによるフェルマー予想の証明を読むことが出来る。これはなかなか珍しい。ワイルズによる楕円曲線論での証明と異なり、本来の方程式をガシガシ因数分解していくので高校数学の延長感もあるので楽しい。2020/08/09