内容説明
伝奇と歴史が交錯する想像力への予感を秘める都市小説『魔都』『十字街』をたどりつつ、東京・パリの“1930年代”を旅する。
目次
プロローグ 十字街に立ちて
第1章 モダン都市函館(モダン函館周遊;長谷川家をめぐる関係図)
第2章 “魔都”東京(『魔都』をめぐる謎;『魔都』の妄想的解読 ほか)
第3章 “十字街”パリ(戦争の長い幕間;『十字街』失われたパリ ほか)
エピローグ “一九三〇年代”へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katta
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☆☆☆☆ 十蘭の全集が刊行されているなか、こういう研究書はありがたい。二つの作品を入口に、時代や人の交錯を楽しむことが出来る、スリリングな一冊。2009/02/22
紅独歩
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久生十蘭は政治に無関心だった、という今までの定説を覆す非常に意欲的かつスリリングな一冊。大杉栄や北一輝などの“著名人”から、「鶴見騒擾事件」や「スタヴィスキー事件」などの“歴史の闇”まで、著者の想像力の飛翔は止まる所を知らない。十蘭の知られざる函館時代・パリ留学時代の考察もあり、ジュウラニアン必読の書だ。2009/01/22