内容説明
唐十郎の小説の最高傑作「ズボン」、戦後の焼け跡を舞台としたファンタジー「銀ヤンマ」、短いながら心震わせる「チヨコ」など、1960年代末~70年代の代表作を収録した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mstr_kk
6
刊行当時は気づきませんでしたが、今読み直してみると、ここに収められた1970年前後を中心とする唐十郎の小説は、どれもとんでもない傑作です。ちょっとわけのわからないところ、飛躍しすぎのところはあります。それでも、そこも含めて、第一級の幻想文学・残酷文学ではないでしょうか。僕が唐十郎のエクリチュールに慣れすぎたせいもあるかもしれませんが、とにかく文章が心地よい。そして随所に驚きがある。20年近く唐十郎ファンをやってきて、今ようやく、小説家としての唐さんも好きだと、はっきりいえるようになったのが嬉しいです。2018/10/11