内容説明
世界が直面するエスニック紛争、その対立と和解の分水嶺は何か。本書では、国内政治と国際政治の相互作用への視座を意識して、マイノリティ問題の現状分析を行った。長期間(あるいは比較的短期間)エスニック紛争が続き、問題の解決が遠いと思われた事例、グローバリゼーションによるマイノリティ問題の普遍化、そして国際的な規範の形成、またその規範の履行や逸脱という3つの視角を設定している。
目次
マイノリティと政治学・国際政治学
1部 対立と和解のエスニック・ポリティクス(紛争の終結から分断の超克へ―北アイルランドにおける社会共有の模索;南アフリカの民主主義定着にむけて;イスラエル・パレスチナの対立構造と共存への展望;旧ソ連・東欧の民族紛争;ユーゴスラヴィアの民主化)
2部 グローバリゼーションとマイノリティ(マイノリティとしての移民・外国人労働者;マイノリティの権利保障に取り組むアクター;マイノリティと環境問題;統合モデルとしての多文化主義)
3部 国際規範とマイノリティ(マイノリティと国際法;イスラーム復興と「異議申し立て」;日本の先住民族問題と国際政治―アイヌ・琉球民族の「脱植民地化」と「集団的権利」の獲得;マイノリティの安全と国際安全保障)