内容説明
長く生活している外国人への突然の退去強制処分は刑罰同様あるいはそれ以上に苛酷である。なぜなら、異国社会で築いた生活すべてを失い、その社会への復帰の可能性も奪われ放逐されるのだから。アメリカの判例・法理の検証を通し、外国人の権利保障に向けた緻密な理論の構築を模索する意欲作。
目次
問題の所在と本書の視座
第1部 アメリカにおける退去強制制度の概観(退去強制法の歴史と現行制度の概要;退去強制の概念と憲法上の位置づけ)
第2部 退去強制の特質と司法の自己抑制理論(連邦議会の絶対的権限の法理;判例における絶対的権限理論の射程;絶対的権限理論の動揺とその範囲;9・11同時テロ事件と絶対的権限理論の「再興」)
第3部 国家の自己保存原理と退去強制の限界(アメリカ移民法における自己保存原理の起源;国家の自己保存原理と出入国管理政策の妥当性;国家の自己保存原理と絶対的権限の制約モデル)
退去強制の憲法的制約と日本法への示唆
著者等紹介
新井信之[アライノブユキ]
1957年3月横浜市に生まれる。広島大学政経学部第二部法律政治学科卒業、同大学院社会科学研究科法律学専攻博士課程後期退学。現在、長崎外国語大学教授。専攻は憲法学。博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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