内容説明
かつて病院は、病人やけが人の捨て場所のようだった。薬も水も、トイレさえないところで、自分の汚物と血にまみれながら、だれにもみとられずに死んでいくクリミア戦争の負傷兵たち。「兵士たちは、軍隊に強いられたこのみじめな生活のつぐないを受けるべきだ」。貴族に生まれ、家族の反対をおし切って看護婦になったナイチンゲールの手で、人間性回復のための病院改革が、いまはじまろうとしている…。
目次
フローレンスとその家族
舞踏会と数学
長いたたかい
神からあたえられたつとめ
仮設病院で
ランプを手にした貴婦人
ふたたび故郷へ
兵士らのために
看護婦にはじまり看護婦に終わる