内容説明
西ベルリンに住む少女リーカがひろったビンのなかに、手紙がはいっていた!内緒で文通をはじめたマッツェリーカは、夏休みに、ある秘密作戦を計画した…。『ベルリンの壁』も親の反対のなんのその。二人がまきおこす、おかしくてちょっと悲しい物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュシュ
29
1980年代のベルリンが舞台。東ベルリンの11歳の男の子マッツェがビンに手紙を入れて川に流す。それを拾ったのは西ベルリン住む12歳の女の子リーカ。この時代のドイツでなければ、こんなふうに出会って友だちになることは楽しいはずなのに…。リーカから郵便で手紙が届いただけで、マッツェのお母さんが仕事に差し障ると言って怒る。児童書だけど、私にとっては、ベルリンの地理的なことも含め、初めて知ることが多々あった。子ども目線だけど東と西の違いがよく描かれていた。同じ作者の『ベルリン1945』のその後なんだなと思う。→2016/07/25
noby
11
1989年11月ベルリンの壁崩壊前の西ドイツの児童書。日本語版は1989年6月刊行。東西ドイツ大使館が資料提供。「ボトルメール」を発端とした、東西ドイツの少年と少女の友情物語。ほのぼのとした家族交流はなく、常に緊迫感を伴う出会いの物語。ところで、ベルリンの壁や東西ドイツの位置関係について勘違いしている人は多いと思います。西ベルリンというのは東ドイツのインサイドにあるんですよ? 西ドイツと東ドイツの国境にあったものではありません。まさに「実写版進撃の巨人」が西ベルリンでした。歴史的にも興味深い児童書です。2017/02/02
パンダネコ
3
子どもの頃、父親に『世の中にはこういった国があるんだよ。君が生きている間には統合されないかもしれないけど』と手渡された本。…渡されてどのくらいか忘れたけれどあっさりと壁は崩壊しました。2015/08/11
樹
2
ドイツが東西に分かれていた時代、ベルリンの壁、東と西に住む男の子と女の子の交流を描いた作品。この話が1988年だから壁崩壊の前年になるのかな。東ベルリンに住むマッツェは瓶の中に手紙をいれ、川にに流します。その瓶が流れ着いたのが西ドイツに住む女の子、リーカ。親に内緒で互い手紙をかわうす2人。ハラハラドキドキ楽しめる部分もあり、大人の事情で手紙すらままならないもどかしさや政治に疑問を持つマッツェに考えさせられる一冊。2015/04/04
dumpty
1
ベルリンにまだ壁があった頃の物語。壁がなくなった今でも、手に取れる本であって欲しい。途中、『ふたりのロッテ』のような展開もあり(笑)。自分の国の歴史と向き合って、子どもたちに物語を描いたクラウス・コルドン。貴重な存在だと思います。2010/12/18