内容説明
町の人はみんな、ぼくの家族はグズだという。学校では「くさい」といってだれもぶくのそばこにこない。町のおとなたちや学校の連中も見かえしてやりたくて、ぼくはひとりで町の公害のことを調べはじめた。じゅうたん工場にささえられた田舎町で、不気味に光る化学物質をたれ流す、工場のかくし排水口をみつけたりハリー。クズの汚名を晴らそうとするハリーに町の権力者たちは…。貧富の差、産業と自然破壊などの社会問題を背景に、父と子の対立、真実をねじまげようとする力と人間の誇りなど、おとなになりかけた少年が直面する苦悩を描き出す、現代アメリカ文学の傑作。
感想・レビュー
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樹
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街の人からクズだと思われている一家の男の子、ハリー。汚名を晴らそうと、街にある工場が汚染水を流していると知り証拠を掴みに行く。重くてつらいどうしようもならない現実に読んでるこちらの息が詰まってしまう。多くの人を働かせてくれる工場と、その工場から出る公害。あなたはどちらを選ぶか、そう問われているようで考えさせられるお話でした。アメリカでその年最高のYA作品として評価を受けた作品だそうで、中、高校生くらいに読んでもらいたい。沖縄の基地問題や原発とも重ねて考えられる作品だと思う。2014/11/10
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