内容説明
夏休みが終わって以来、ペーターの様子がおかしい。クラス・キャンプで何が起こったのか。ガール・フレンドに問いつめられて、ペーターは衝撃的な事件を物語りはじめる。『キャンプのお金がみんな盗まれたの』…『犯人って?』『イタリア人ですよ。カネヴァリっていう』…『そんなに彼の逮捕に執着するんなら、自分たちでつかまえな!』山中の国境をこえてにげようとする泥棒。追跡するぼくたちは正義の味方だったのに…。いじめ、差別、親の離婚、教師との関係、異性とのつきあいなど、現代のティーン・エイジャーの抱える問題をからませながら、正義が悪にかわる瞬間、集団暴力の心理をわたしたちにつきつける、ドイツ児童文学の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
光
6
合宿費用が盗まれ、警官の一言で泥棒追跡がはじまりますが、その先に待っていた展開に、言葉を失いました。あまり知られていない本ですが、多くの中高生と大人に読んでもらいたいと思いました。2015/01/11
piro5
2
題名に騙されてはいけません。衝撃的な作品です。この作品を読んで、海外児童文学の凄さを知りました。2007/11/11
くるた
1
一人では出来ないような恐ろしいことも、集団になるとやってしまう気持ち悪さ。「みんながやってるから」「責任者は自分じゃないから」が招く不幸が恐ろしい。証拠もないのに、このイタリア人が窃盗の犯人だ!と思い込む短絡さにイライラし、英雄願望のために集団暴行までしてしまったというのに、このラストは一体…。先生の「彼(無実だった被害者)から多くのことを学んだと思う」というセリフとか、妙な気持ち悪さが残りました。なんか、誰も責任らしい責任とってないんだよね。反省はしてるけど。いいのか?この終わりでって感じ。2014/09/21