出版社内容情報
薬物血中濃度モニタリング(TDM)の普及により、薬物の効果調整の予測、合理的な薬剤の投与計画が行われ、薬物治療の質および効率の向上が図られている。また、高度先進医療としての移植医療における移植後の免疫抑制剤・抗生物質のTDMによる投与決定が大きく貢献することになった、一方、薬物代謝酵素に遺伝的多型が存在することが報告され、薬物血中濃度および薬効・副作用発現の個人差に大きく関与することが明らかになり、テーラーメイド医療が実現しつつある。本書は、これら近年の動向を盛り込み、1993年刊行の「薬物投与設計のためのTDMの実際」を全面改訂した。図表を多く用いて理解を深められるようにし、文献についてもできる限り引用して章ごとにまとめた。基礎から臨床までを学ぶテキストであると同時に、症例解析を盛り込むなど、実用書としても活用できる内容となっている。本書が、TDM実務マニュアルとして広く活用され、薬物治療の質と効率の向上に役立てられることを期待するとともに、今後必須化される薬学生の病院実務実習のTDMテキストとして活用されることを期待する。
内容説明
本書は基礎編、実践編、資料編の3部よりなっている。基礎編では薬物動態論など、TDMに必要な基本知識をまとめている。実践編は5章よりなり、第1章には繁用される抗てんかん薬、喘息治療薬、強心配糖体、抗不整脈薬、抗悪性腫瘍薬、抗生物質製剤を、第2章には近年特に測定頻度の高い免疫抑制剤を、第3章には抗躁薬、抗精神病薬、解熱鎮痛消炎薬をまとめている。さらに第4章に薬物中毒と脳死判定反応を、第5章では、薬物治療の個別化とTDMを解説し、今後のテーラーメイド医療の実用化に備えている。また、資料編に定量法、精度管理、血液試料の扱い方をまとめている。
目次
基礎編(薬物血中濃度測定の臨床的意義と役割;薬物血中濃度解析に必要な基礎的薬物動態論)
実践編(抗てんかん薬・喘息治療薬・強心配糖体・抗不整脈薬・抗悪性腫瘍薬・抗生物質製剤;免疫抑制剤 ほか)
資料編(定量法;薬物血中濃度測定の精度管理 ほか)
付録(日本人における母集団薬物動態パラメータ;主なTDM解析用ソフト一覧)
著者等紹介
伊賀立二[イガタツジ]
東京大学医学部附属病院教授・薬剤部長
乾賢一[イヌイケンイチ]
京都大学医学部附属病院教授・薬剤部長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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