出版社内容情報
学校生活には、心が動き、自分の殻を破るきっかけがあふれている――。
自由教育で知られる明星学園中学校・高等学校で、国語科教諭、そして副校長として教育現場を見つめてきた著者が、生徒が成長する瞬間、授業、さらに新しい時代に必要とされる取り組みについて語ります。
「わたしもきっと自分の居場所を見つけるね!」そう言って巣立っていった生徒、
民泊で「今日から大家族だね」とおばあに言われたのが一番うれしかったと綴った生徒、
「自分の自由の邪魔になるものをなくせば自由になれるの?」と哲学的質問した生徒、
卒業論文で「どうすれば痛くない注射針を作れるか?」というテーマを持ってきた生徒・・・
その光景が目に浮かぶようなエピソードが、生徒たちの生き生きとした言葉とともに紹介されている本書。そこにはおだやかに、けれども熱く彼らと向き合う一人の教師のまなざしがあります。
「迷ったときは、楽なことより楽しいことを。」
教師なのに人前で話すのが苦手、「自分は失敗の連続だった」と語る著者が、送り出してきた多くの生徒の成長を振り返りながら、いま不安を感じ、悩んでいる中学生へ、そんな彼らを見守る保護者へ、そして彼らに寄り添い、自身も成長しようとする教師へ向けたメッセージは、思いやりにあふれ、それでいて多くの示唆に富んでいます。さまざまな立場から、何度でも読み返し、自分の胸にとどめておきたくなる一冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
呼吸が清々しい太陽
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中学時代の国語の先生の著書。当時こんな事を考えいていたのか、と授業時間と時間軸を並べて懐古した。自分の時代は「卒業論文」という物は無かったが、これは担当の先生次第でかなり人格形成に大きな影響を与えるのだろう。自分で物事を考え咀嚼し、導く。これこそが明星ismの根幹にあると改めて感じた。教育に正解は無いが、自分の子供にはマジョリティーに流されず、自身のモラル、大局的視野で生きていける強い力と優しさを持って人生を楽しんでほしい。2025/10/24
hituji to tora
1
多様性の意味を改めて教わった。多様性とは、自分が合う人とだけ付き合い、他には干渉しないという事ではない。つい「そういう考え方もあるよね」の一言で、自分と異なる人を認めたフリをして、結果的に無関心である人の方が多い気がする。自分と異なるものに対し、積極的に質問、時には反論するなど、対話を通して、自己の思考を「調整」する。そのような姿勢こそ、真の意味で多様性を認めることになる。他者との軋轢を恐れるばかり、多様性という言葉を盾に、対話を避ける雰囲気がある。「楽」な無関心より、対話を「楽しむ」ことを大切にしたい。2024/08/09




