内容説明
荒涼とした岩の大地と、砂色の空、砂色の海、長く続いた戦争で掘り尽くされた炭鉱と。殺風景で無愛想で怠慢で、いつ訪れるとも知れない終焉に向かってただじりじりと退廃しながらゆるやかに刻をきざんでいる。―錆びた赤毛の青年と、“喋るラジオ”と、そして少女は、そういう惑星を旅している。
著者等紹介
壁井ユカコ［カベイユカコ］
第９回電撃ゲーム小説大賞「大賞」を受賞。著書に受賞作『キーリ』シリーズの他、『カスタム・チャイルド』（電撃文庫）。信州育ち、東京在住。５月１８日生まれ
田上俊介［タウエシュンスケ］
第９回電撃ゲームイラスト大賞「大賞」を受賞し、その後電撃文庫『キーリ』でイラストレーターとしてデビュー。アニメのキャラクター原案なども手がける。１月３１日生まれ（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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あおでん@やさどく管理人
20
ブックオフなどでも探したが見つからず、図書館（他区取寄せ）で。壁井さんの描く、先に明るい兆しはないがささやかな暖かさを感じる世界、そして田上さんのイラスト。夕焼けに舞うタンポポの綿毛のように、まだあの世界にも美しい風景は残っていた。久々にキーリの世界に戻ってくることができて嬉しかった。2016/05/27
ちはや＠灯れ松明の火
13
あなたを呼ぶ声も、伸ばす腕も、駆け寄る足も、何ひとつ持たないけれど。あなたがそこにいる、それだけでよかった。荒野の野営地、片隅のしおれた雑草、老兵士と青年兵士と過ごした時間。行かないで。その言葉は届かない。血と硝煙の臭いの濃い方へと彼らは向かう。帰ってきて。ささやかな願いも望まぬかたちで叶う。ひとりは永い眠りにつくために、もうひとりはそれすらも許されずに。花を咲かせよう、あなたに笑いかけるように。葉を広げて迎えよう、深く強く根差したこの場所に。白い綿毛を空へと飛ばそう、いつか、あなたへと辿り着くために。 2017/07/14
ひなた*ぼっこ
6
優しくない世界で優しさを見つける物語。不毛の大地に咲く名前も知らない花を彼女のようだと言う彼がいじらしい。健気で強かで優しい。タンポポのような存在。2022/05/27
ちまりん
6
久しぶりにキーリの世界を覗いてきました。 久しぶりに1巻から読みたくなった。2014/09/18
あおいたくと＠灯れ松明の火
5
久々に再読。乾いてる感じの文章に、絵が潤いを出してるようなシリーズだと勝手に思っているんだけど、どちらの良さも存分に楽しめる一冊かと。本編も読み返したくなるイラストノベル。2015/02/20
