猫泥棒と木曜日のキッチン

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  • サイズ B6判/ページ数 233p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784840231589
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

お母さんが家出した。あっさりとわたしたちを捨てた―。残されたわたしは、だからといって少しも困ったりはしなかった。サッカーを奪われた健一くん、将来女たらしになるであろう美少年の弟コウちゃん。…ちょっとおかしいかもしれないが、それがわたしの新しい家族。壊れてしまったからこそ作り直した、大切なものなのだ。ちょうどそのころ、道路の脇であるものを見つけて―。

著者等紹介

橋本紡[ハシモトツムグ]
三重県伊勢市出身。第四回電撃小説大賞で“金賞”を受賞し作家デビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ふじさん

74
主人公のみずきは、17歳の高校生、突然母親に家出され、父親違いの5歳の弟と二人暮らしをすることになる。友達の健一は、二人の大きな支えとなる。そんな時に、道端で猫の死体に出会い、猫の死体を庭で埋めることを繰り返す中で、猫を捨てる女を見つけ出し、健一の助けを借りて、猫を救うために猫泥棒を計画し、成功する。健一とは恋仲になり、そのうちに恋多き母親も帰り、以前の生活を取り戻す。テーマの深さと物語としての面白さが両立していて、生きて行く上での、何かを教えてくれる1冊。橋本紡の作品では、ベストに近い作品。2025/09/29

おかむー

62
淡々としたなかに漂う優しさと悲しみは相変わらずの橋本紡ながら、タイトルと装丁の柔らかさとは裏腹にすこーし容赦ない。でもラストは“らしく”収まって『よくできました』。主人公・みずきは冷静に物事を割り切っているようで、それがむしろ危うさを感じさせる「欠けている」部分なのだけれど、寄り添う健一の存在が距離を保っているようでやはり何かを埋めていたのだろう。猫へのこだわりは母へ捨てられた自分と弟の投影であり、気まぐれな母そのものでもあったのかな?健一の視点で描かれる『少年の憂鬱』での北嶋とのやりとりが微笑ましい2014/10/28

えりこんぐ

55
初読み作家さん。冒頭から母親に捨てられる高校生のみづき。しっかり家事をこなして、どこか冷静なのだけれど本当の気持ちは..? あらすじの割に、重くなりすぎないところがいいな。でも猫好きにこれはキツい..。猫ちゃんたちが助からないシーンは辛かった(;o;)2017/04/12

風里

55
親が子を捨て、子が親を捨てる連作短編集。 親になりきれない親はどこにでもいるもので、そういう人を親と認めて生きていかなくてはならない子供は本当に不幸だ。 殺伐としているからこそみずきの達観が際立つ。2013/11/09

seri

48
淡々と、静かに心が動いていく。完璧な人間なんていない。大人も、もちろん子どもも。親になったからって、誰もがちゃんとしたお母さんになれる訳じゃない。子どもだって傷つくだけの存在じゃない。傷付いた分だけ、理屈を越えた理解が進む。きっとそれを人は成長と呼ぶ。これは家族の形と捨てられた命の話。テーマは重いはずなのに、軽くてドライで不思議な読後感。かといって後に何も残らないわけではなくて、ふとした一言が響く。不思議に温かい気持ちになれる本でした。2013/12/04

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