内容説明
「―おれ、女のひとがだめなんだ」成績優秀で常に穏やかな橋立、運動神経が良くクラスの中心にいるモテ男・伸平。高2の普通女子・柏木葉がある秘密を知ったときから、3人の奇妙な関係は始まった。友情や恋愛を超えてつながる彼らの在り方が、割り切れない現実にもどかしさを抱えていたあの頃の気持ちを呼び起こす。第6回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作。
著者等紹介
工藤水生[クドウミズオ]
1989年、北海道生まれ。北海道大学文学部卒業。就職活動中に小説執筆を決意。初めて原稿用紙100枚突破に成功した『笑えよ』で、第6回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優愛
89
人気者の仲平君、仲平君が好きな同性しか好きになれない橋立君、そんな橋立君が気になる葉。とても歪でけれどすごくバランスのとれた三角関係に終止符が打たれることはきっとない。「スノードームの中にいるみたいだ」雪の降りしきる中三人でした花火は反射して一層輝いた、そんな綺麗すぎる世界にずっとずっと入れればいいのにな。そうすれば純粋な思いが軽蔑や嫉妬に汚れることはないのに。「笑いたいやつは、笑え」一方的に突き付けるような眼差しが言葉の奥に見える様。でも笑わないよ。私は絶対に。だってその姿は笑っていいものじゃないから。2015/01/14
Penguin
35
タイトルと表紙に惹かれ購入。高校生の日常が心地好い… お互いの思いが交わらなくても、お互いを思い合い切ないけど、素敵な関係性。 雪国育ちの私だか、雪の描写が細かく綺麗だし、冬の花火はしたことがないがやってみたいし、暖房が効いた部屋でアイスを食べてこそ「冬が来た」って感じに共感♪ 今後も読んでみたい作家さんに出会った。2012/03/20
ううちゃん
32
すごく大きな何かが起きるわけでもない、それでも先が気になってしまうのは、女子っぽくない葉に好感が持てるからか、ひょうひょうとした橋立の秘めた想いか、人気者の仲平の傷か。終盤の葉の怒りはまっとうだ。橋立と仲平、それぞれに抱えるものが、いつか思い出になってくれるといい、と思う。2020/10/04
愛緒
30
『私たちは滑稽でいびつかもしれなかった。けれど、それでもかまわないと思った。笑いたいやつは、笑え。』ー笑え!と大きく言った文章がとても斬新。誰にでも秘密があって、伝えることができない思いが体中を渦巻いてる。橋立、仲平、葉がおりなす3人の、友情や恋愛を越えてしまうような奇妙な関係性が、胸が痛くなるけれど、どこか心地よい。あの時に戻りたいと思わせる青春をぎゅっと詰め込んだような物語だと思った。2016/03/04
うがり
30
あとがきの中で深川さんがこの作者の文は映像的と述べていたが、確かに読んでいる時に想像しやすかったし、想像する絵がきれいだった。「笑えよ」の葉・橋立・西平、「赤い蝋燭」 いつかと穂波。ここに出てくる高校生たちの関係性はどこかきれいなで不器用。それぞれが抱える悩みやトラウマ、それを隠して日々は生活する中で、彼らはそれを共有することができる関係になるだろう。これから先も彼らはこの関係のまま過ごしてほしいし、別れても彼らの縁は切れることはないだろう。自分にもそういう人がいるってことを思い出すことが出来て良かった2015/03/17
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