内容説明
失なわれつつある記憶と風景―。現在、東京ミッドタウンとして開発された赤坂九丁目だが、以前は日本軍の土地であった。過酷な訓練により死者も出たという敷地内の池には、江戸時代から続く奇妙な祟り話が伝えられている。この地が米軍の手に渡った後、夜な夜な池のほとりに日本兵の幽霊、そしてメイドの幽霊が現れ、何人もの米兵が目撃していた…。明治以来、軍用地として使われていた土地がもつ記憶とは?怪奇探偵・小池壮彦が、土地に刻まれた13の妖しき事件の面影を偲ぶ。
目次
軍都赤坂のメイド霊―麻布一連隊跡地
八百屋お七の足音が聞こえる―円乗寺境内
油面坂下の怪談―市場坂橋
お初殺し―浅草界隈
魔が呼ぶダム―多摩川調布堰
玉菊燈篭―吉原界隈
玉菊の墓―永見寺墓所
火除橋の怪火―日本橋界隈
水の女と、魔の淵と―荒川放水路
追ってくる屍体―中川鉄橋
桃色の幽霊―羽根木公園
三姉妹入水心中―どんどん橋
水道の祟り―玉川上水
妖しき痕跡を巡って―補章1
隠された八百屋お七の秘密―補章2
著者等紹介
小池壮彦[コイケタケヒコ]
1963年、東京都生まれ。作家・ルポライター・怪談史研究家。幽霊・心霊事件の社会的背景を研究し、怪奇探偵としてテレビにも出演する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
瑪瑙(サードニックス)
52
八百屋お七以外ほとんど知りませんでした。東京近辺の事件の事なので、本当に全然といっていいくらい知りませんでした。怖い話よりも、憐れというか、悲しい事件が多かったです。八百屋お七の秘密に関する検証は面白かったです。そう言われてみれば確かにそうだよねと思いました。←どういう内容かはネタバレになるので伏せます。2016/03/09
p.ntsk
47
タイトルに“幽霊事件”とあるように単なる怪談話ではなく元になった事件や事故の背景や舞台となった土地の歴史や社会状況にも言及したルポになっています。主に東京の比較的有名な事例が紹介されています。麻布一連隊跡地「軍都赤坂のメイド霊」、多摩川調布堰の「魔が呼ぶダム」、荒川放水路「水の女と、魔の淵と」が印象に残りました。あと八百屋お七の謎をめぐる論考が興味深かったです。 2016/10/04
モモ
44
その土地にまつわる怖い話を江戸時代くらいまで遡って書かれた本。実際の現場やお墓が白黒の写真入りで載っていて、怖さ倍増。常磐線の鉄橋での自殺で、遺体の一部がボートで付近を捜索していた警察官にしがみついた?件が怖い。「ボートが二度転覆/まつわりつく白い手」と新聞でも報道されたのだという…。同じ場所で死亡事故が続く河川敷も怖い。なかなか怖い一冊でした。2022/08/18
トムトム
18
あまり期待しないで読んだのですが、そこそこ面白かったです。新聞で報道されたりして有名な話を、どこまで本当か掘り下げる本。よく調査されているし、分からなかったことは分からなかったと書いてあるし。マスコミや人間の心理みたいなものも興味深かったです。2023/12/24
SKH
12
怪談、怪異譚を時代を遡り考察し、真相を解明。2014/03/27
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