内容説明
ボクシングの試合に勝った帰り道、太一はバイクの事故で下半身麻痺の身体になり車イスの生活になる。絶望で自暴自棄になる太一だが、風のように生きる女・サマ子やテキ屋の親分・権水らと出会い、次第に明るさを取り戻していく。そんな中、太一は合気柔術“AIKI”と出会う。師範・平石の“相手を拒絶するのではなく、まず受け入れなければ”という言葉に、太一の中で止まっていた“何か”が動き出した…。実在のデンマーク人のモデルをモチーフにした感動の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
折登大輔
3
「世の中に平らな道なんてないんだぜ」実在の人物をモチーフにした、車椅子の武道家の物語。映画のノベライズだけど、映画公開よりも先に発表された本で、それは正解だったと思う。映画とセットで読んで欲しい本。武道とは、生きる事に対して「卑怯だぞ!」と言って諦めてはならない事を学ぶものなのだという事を教えてくれる物語。2013/03/10
のみちゃん
2
作品中盤になっても合気が登場しないので「合気の話じゃなかったかな?」と思ったが、その序盤は主人公や合気を語る上で必要だったのだと読み終えた今は思う。まさか実話がもとになっているとは…と驚きを隠せないが、品のない文が多かったものの、きれいごとばかりを描かない良い作品だった。会社へ急ぐ朝のサラリーマンを見ながら「あのくたびれたおじさんは実は合気の名士で、あの鞄の中には道着が入っているのかも?」と考えると、おじさんが急に勇ましく見えてくるから面白い。2017/06/05
mihito_
1
2)映画を観て感動した。交通事故で車椅子になったボクサーが合気に出会い、生きる道を見つける話。小説では障害者の複雑な気持ちがより良く表れていた。武道にもいろいろあるが、合気道は戦うより、逃げずに相手を受け入れると技がかかるというのが、日常的にも役に立つと思った。諦めなければ道は開ける。頑張る力が湧いて来た。2015/01/09