内容説明
ケイ・トンプソン(と、ムリヤリ連れてこられたヒラリー・ナイト)が、冷戦まっただ中のモスクワを竜巻のように駆け抜けていったとき、ロシアの人たちには、何が起こったのかわかりませんでした。それが名作誕生のプロローグだなんて、だれも考えなかったのです。1959年に初版が刊行されてから、30年以上も出版されなかった「エロイーズ」シリーズの4作目。
著者等紹介
井上荒野[イノウエアレノ]
1961年東京生まれ。成蹊大学文学部英米文学科卒業。1989年、小説「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞
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感想・レビュー
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kanata
24
シリーズ共通のピンクは画面からなりを潜め、白い雪の舞うロシアへ。バレエにサーカス、冬のモスクワはエロイーズにはつまんない、となってしまうかと思いきや、彼女のなりの面白さを地下道で発見。そして数少ない色のある世界、クレムリン宮殿の巨大さに戸惑う。ホテル専門の工作員となり、鍵穴からほかの部屋をチェック。三輪車で氷上を駆ける。この子といたら、本当に、気が休まるときもない。まだ6歳だから言いたいことを遠慮しておくわ、に哀愁を感じさせる終わりかた。2018/06/17
金平糖
8
冷戦真っ只中のモスクワにナニーと訪れる。ホテル・ナショナルは、ホテルプラザとは大違い。モスクワに「てってーてきにに存在しないのは、プライバシー」いつも、誰かに見張られ、手紙は全て開封済みだが、クレムリンもモスクワ芸術劇場も中央人形劇場もサーカスも楽しむ。バレエも踊りキャビアも飽きるほど堪能『うーん、言いたいことは、まだまだたくさん。だけどあたしは、まだ6歳。(遠慮しとくは)』作者は大スターなのでご自身の体験をもとに作ったのか?相変わらず絵が素敵♪抑えめの色調が、レーニン広場の絵にだけ赤と緑と茶色も使用。2006/06/19
Cinejazz
6
おしゃまな6才の女の子エロイ-ズが、1959年のロシアを訪れた時のお話が大人向け絵本に。エロイ-ズのママはアメリカ大使と知り合いの仲、小さなミス外交官気どりでモスクワへ。心配性のおばあちゃまが、鉄道便でロールスロイスを手配してくれたので、ブリザ-ドのなかの移動もへっちゃら。ゴーリキ-通りのホテル・ナショナルでは、てって-てきに歓迎されてないムードでのお出迎え。先に着いた手紙は、み-んな開封ずみ。いつでもどこでも、誰かに見られてる。てって-てきに存在しないものは、プライバシ-。エトセトラ・エトセトラ・・・2021/10/12
ひとみ
4
冷戦まっただ中のモスクワを訪問したエロイーズとナニーの滞在記。監視つきの観光、プライバシーはまるでなく、前作とは違って不気味な雰囲気の漂う一冊。でもこのままエロイーズには世界各国を旅して欲しかった。2013/07/25
BJ
0
18002016/07/09