内容説明
神奈川県川崎市の幕府御用商。・大地主、大貫家の長女として生まれる。20歳で駆け落ちに失敗。その後、長男・太郎を妊娠して漫画家・岡本一平と結婚し、夫と息子と新たな恋人の4人で暮らす。その恋人の病死後、年下の大学生と担当医を新しい恋人に5人で生活、そしてパリへ。自分の気持ちに素直に生きることはむずかしい。大正・昭和の時代、恋と愛に生きたかの子の日々―。
目次
1 「わたし」の気持ち
2 恋わずらい
3 巴里という幸福
4 結婚について
5 小説
6 さくら百首
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
駄目男
5
本書は散文というか何というか、短歌あり小説あり随筆ありと、編集者の方でかの子の死後、勝手に集約したのか分からないが、明治生まれの彼女の文体は多少読み辛いところもある。然し、かなりの才能は伺え、かの子と一平の会話は何か哲学的な要素も孕みかなり難しい。だが、短歌ではこんな素晴らしい歌を披露している。「この世なるえにしふかくして母よ子と和みくらさんみじかきこの世を」「桜ばないのち一ぱい咲くからに生命(いのち)をかけてわが眺めたり」 岡本一平論に関しては、まるで魚をさばくように骨の髄までよく知っている。 2020/02/04
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『この人のわたしを庇い通した永い年月を他所ながら眺めてその人達も恨みをおさめて居るに相違あるまい。(中略)そういえばわたしとてよくもこの人を庇い通した――おもえば氷を水に溶とく幾年月。その年月に涙がこぼれる。』2015/03/01




