内容説明
騙し、盗み、娼婦に恋し、飲んだくれて生きた男ヴィシュヌがボンベイのアパートの階段で死につつある。神と同名のその男が暮らしてきた踊り場は今、賤と聖、下界と天上界の分岐点だ。神の座へと一人階段を上っていく彼の魂。一方、アパート住人は、若い恋人達の駆け落ちに上を下への大騒ぎ。醜くもあれば美しくもある人間の諸相を描く傑作。B&Nディスカヴァー・ブック賞第1位。ペン/フォークナー賞ノミネート作品。
著者等紹介
スーリー,マニル[スーリー,マニル][Suri,Manil]
1959年、インドのボンベイ生まれ。アメリカに留学、応用数学の博士号を取得。現在メリーランド大学数学教授。処女作『ヴィシュヌの死』は、2001年度B&Nディスカヴァー・ブック賞第1位に選ばれるとともに、ペン/フォークナー賞にもノミネートされ、さらにドイツではコリナ賞受賞。世界十数か国で翻訳されている
和田穹男[ワダタカオ]
1940年神戸市に生まれる。東京外国語大学フランス語科卒
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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Porco
17
インドを舞台にした小説で、作者もインド人。ただ、アメリカで数学者をしている人だそうで、物語の構成はわかりやすくなっています。アパートの踊り場に居住権の概念があるのが、まず面白い。2018/10/07
browneyes
0
勢いで借りたけど、おもしろかったでござる。 とても叙情的な叙事できれいだった。2013/01/03
うにこ。
0
なんか、ジム・クレイスの「死んでいる」をめっさ思い出すんですが。 アジア版かつ精神版「死んでいる」っていう感じ。 アパートの中の、俗と命の乱痴気騒ぎをBGMに、ゆっくりと死んで神に近づいていく男の一部始終のような。 何種類ものエピソードが無秩序に現れるのですけれど、それがどうにも人間くさくて生臭くていい感じ。 大当たりってほどではないけど、佳品。2005/05/25
けい
0
浮遊感のある話。読みづらくてなかなか進まなかったけれど、読み終えてみると、階段の情景や、スカーフの質感、開いた窓から入る風、台所の熱気、ミルク缶の鈍い光、そんなようなものが頭のなかに渦巻きます。インドという国の文化に圧倒される。2019/07/15
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